1ドル150円どころかすでに一時160円の壁すらも突破している為替相場。11年10月につけた戦後最高値の75円32銭から倍以上の円安と、信じられない状況になっている。
他の通貨も米ドルほどではないにせよ軒並み円安だが、今でも円高を維持している国がまったくないわけではない。しかも、その中には海外旅行先として人気の国が多い。
なかでもこの数年で円高がもっとも進んだ国のひとつがトルコ。19年には1トルコリラ19円台だったが、現在は4.72円(※7月18日現在=以下同)。ピラミッドで有名なエジプトもこの5年で1エジプトポンド6円台から3.24円となっている。
また、遺跡やリゾートが充実し、日本から直行便のあるスリランカも0.6円台(19年7月)から0.51円。深刻な経済危機により0.3円台まで落ちた22年ほどではないが、今も円高状態が続いている。
そして、日本人の旅行先としては馴染みがないが、世界最大級のイグアスの滝や氷河の残る南部パタゴニアなどがあり、欧米からの観光客も多い南米アルゼンチンも為替が暴落した国のひとつ。1アルゼンチンペソ2.5円台(19年7月)から0.17円と日本とは比べ物にならないほどだ。
「どの国も財政破綻やその一歩手前の通貨危機を起こしています。つまり、決して円が強いわけではなく、いずれの国の通貨も国際的な評価があまり低いんです」(経済誌記者)
ただし、いずれも自国通貨の暴落に伴いインフレが加速。物価は上昇しているという。
「それでも十分安いです。ホテル相場も同様で、旅行中の現地滞在費を欧米の半分やそれ以下に抑えることも可能です」(同)
また、以前よりは円安傾向、またはほぼ横ばい状態にあるが、シルクロード時代の遺跡や交易都市が近年人気の中央アジアのウズベキスタン、バリ島のあるインドネシア、ヒマラヤトレッキングの聖地ネパールもまだ円高状態をキープしている。
「これらの国々も物価が安いため、懐具合をあまり気にせず旅ができます。それに加え、観光資源の多さも魅力です」(同)
円高・物価安という条件でも選択肢は意外と多い。海外旅行先として検討してみる価値は大いにありそうだ。