売却濃厚な「ハウステンボス」が海外資本でトンデモテーマパークに!?

 今月21日、メディア各社が一斉に報じたハウステンボス(長崎県佐世保市)の身売り記事。大手旅行会社エイチ・アイ・エス傘下の国内最大級の敷地面積を誇るテーマパークだが、コロナ禍でグループ全体の業績が悪化。資金調達のために売却先の香港の投資ファンドと最終調整に入ったと報じられている。

 今年で開業30周年を迎えるハウステンボスは03年に経営破綻した後、野村證券のグループ会社の支援のもと再建を目指すが10年に撤退。そこに手を差し伸べたのがエイチ・アイ・エスの澤田秀雄会長だった。

 九州の財界と連携を図るなど支援の輪を広げ、施設運営会社の社長になると就任初年度から黒字化に成功。18年10月期(17年10月〜18年10月)の決算では、売上高が436.9億円、営業利益が72.7億円を記録するなどグループ全体としても旅行部門に次ぐ事業の大きな柱となっていた。

「今年3月の中間決算では4億円とはいえ約3年ぶりに営業利益が黒字に回復。ただ、コロナ禍で本体のエイチ・アイ・エスが過去最大の赤字を計上。施設としてはまだまだ利益が十分期待できる優良子会社だったため、この想定外の事態がなれれば、いまのタイミングでの売却はなかったはず」(経済紙記者)

 ただし、気になるのは今後の展望。長崎県はハウステンボスにカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を誘致する計画を進めており、4月にはIR区域整備計画を国へ申請中だ。

「ここに関してはそれほど大きな影響はないと思います。しかし、海外資本になることで地域との連携が崩れてしまうとの懸念もあり、『外国人スタッフを増やし、地元雇用枠が減るのでは?』といった不安を口にする人もいます。また、これまで以上にアジア人観光客を意識した施設になるのは確実で、テーマパーク全体のコンセプトに影響を及ぼす可能性もあります」(同)

 トンデモ施設と化して日本人観光客の足が遠のくことにならなければいいが…。

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