「大阪万博」強行で来る「府民総ビンボー化」時代(2)「チーム吉村」の発案だった

 膨れ上がる大阪万博開催の予算。すでに事業予算拡大の前兆は2年前にあった。発表時に1250億円規模だった万博会場建設費が、20年の概算では1850億円に上方修正。会場費用についても、記者会見では「範囲内で収める」と言うが、この発言にも疑念を抱く在阪の関係者は少なくない。在阪の社会部記者が明かす。

「実はシンクタンクが調査したところ、建設費用は2200億円ほどかかるといいます。この金額がさらに上回る可能性だってあるんです」

 問題はそれだけではない。25年4月13日から約半年間、開催される大阪・関西万博の会場となる夢洲は、大阪市の西側、ベイエリアにある約390ヘクタールの人工島に位置する。この人工島は主に運輸会社のコンテナ置き場や物流センターなど、これまで輸出入の物流倉庫として活用されてきた。

 この夢洲が注目されたのは、現在、行政を担う「大阪維新の会」誕生の後だった。大阪府と大阪市のIR推進局が13年に統合型リゾート(IR)の誘致を表明し、カジノ構想が突如として打ち出される。そのIRの場所として夢洲の名前が取りざたされたのだった。

 大阪・関西万博とIR。一見、無関係そうな2つのプロジェクトこそが、「大阪経済復活の起爆剤になる」と鼻息を荒くするのは、維新の会所属の議員だ。

「大阪維新の会は、結党当初から大阪都構想を掲げてきました。13年当時、一期の若手議員の中から優秀な議員を数名集めて、毎晩のように政策を煮詰めさせていた。その中の一人が大阪市議時代の吉村さんで、彼は若手グループのリーダーを務めていたことから『チーム吉村』と呼ばれる政策集団に発展した。そもそも大阪万博の開催案もチーム吉村が発案したもので、骨子が幹部に提出されるや、松井一郎代表(当時)も『ええやん』と後押し。当時からIRと万博はセットありきで、IRは24年の開業。万博は25年を目指していたんです」

 いわば吉村知事肝いりの一大イベントだったのだ。

*週刊アサヒ芸能11月10日号掲載

ライフ