「まいどおおきに食堂」などを展開するフジオフードシステムが、従業員が制服に着替える時間を労働時間と認めず賃金を支払っていなかったとして労働基準監督署から是正勧告を受けていた問題。これにネット上では、同様の被害を訴える声が相次いでいる。
7月14日に労働組合「首都圏青年ユニオン」が行った会見によれば、フジオフードシステムが展開する川崎市の「デリス タルト&カフェ」で働く30代のパート従業員の女性が、勤務のたびに白のコック服を店舗とは離れた更衣室で着替えており、着替えと移動に時間が掛かっていたが、会社はこれを労働時間と認めず賃金を支払わかなかったという。女性が労基署に違法であると申告すると、6月17日に川崎北労基署がフジオフードシステムに対して是正を勧告し、女性がこれまで働いてきた2年間の未払い賃金を支払うよう指導した。
この件が報じられるやネット上では、《制服のある飲食店で働いていて、勤務時間までに制服に着替えて来いって言われてたけど、労働時間に含まれるなんて知らなかった》《私の上司も着替えは労働時間では無いと言い切り、「組合にも確認している!」と言い切っていましたが…》など声が数多く寄せられており、着替え以外でも《医療関係者です。検査用の器材を立ち上げるのに20分から1時間かかりますが、これも労働時間に入っていません。誰かが行ってスイッチを入れないと起動しないのに》といったケースの報告もあった。
「着替えや朝礼、始業準備など、本来は労働時間であるはずなのに賃金が払われていない例は少なくありません。昨年9月には、兵庫、大阪、京都3府県の10郵便局で働く従業員ら44人が、出退勤時の着替えに要する1日14分間分の賃金が支払われていないのは不当だとして、日本郵便を提訴したことも話題となりました。制服の着用が義務付けられているのであれば、着替えは使用者の指揮監督のもと業務として行われていることになるため、当然ながら賃金が発生することになります。しかし、まだまだ『着替えは労働時間に含まれない』と主張する企業も数多く存在しているのです」(フリージャーナリスト)
なお、是正勧告を受けたフジオフードシステムは対応を検討中としており、今後の行方に注目だ。
(小林洋三)