ゼロコロナで窮地の中国、このまま「鎖国」シフトの現実味

 経済活動への影響を重視し新型コロナと共存の道を選択、規制緩和に踏み切る国が多い中、一貫して「ゼロコロナ政策」を取り続ける中国。今年春に20都市以上でロックダウンが実施され、特に上海では2カ月以上の長期に及んだ。

 しかも、ここに来てオミクロン株の亜種「BA.5」の感染者が確認され、一部の都市では移動を制限し、上海では12〜14日に住民を対象とした大規模な検査を行っている。すでに感染が拡大しているため、市民の間では再ロックダウンが懸念されている。

 しかし、日本をはじめ世界各国が方針転換を図る中、なぜ中国は未だにゼロコロナ政策にこだわっているのだろうか?

「ロックダウンに感染拡大を抑制する効果があるのは事実。実際に武漢などで成功したモデルを、習政権は内外にアピールしてきました。また、ここまでこだわってきたゼロコロナを今さら方針転換することは出来ず、仮にゼロコロナをやめて感染が広がれば、政府への風当たりは強くなる。習主席が3選を目指す秋の党大会にも影響が及びますからね」(全国紙記者)

 だが、このままだと中国は国際社会で孤立を深めていく恐れもある。米ソーシャルニュースサイト「Reddit(レディット)」は、昨年7月に「中国は2022年10月までに完全に鎖国されると予測」というセンセーショナルなタイトルの記事を掲載。実際、今年4月には米国留学中の女性が一時期国を経て出国しようとした際、上海の浦東国際空港で拘束。パスポートを切断される“事件”も起きている。

「5月には国家移民管理局が『国民の出国を厳しく制限する』と発表しています。今後はこれまでのように気軽に観光や留学ができなくなるのは間違いなく、鎖国が現実化を帯び始めています」(同)

 ネット上では以前からYouTubeやツイッターなど閲覧できないサイトが多く、当局が監視するなど“準鎖国”状態にあった中国。果たしてこのまま本格的な鎖国へと舵を切ってしまうのだろうか…。

(画像はロックダウン中の上海)

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