ロシア軍将官がバタバタと…ウクライナ戦争で大活躍の「観測手」って何?

 当初は劣勢が報じられながらも粘り強い抵抗を見せ、途中から攻勢に転じたウクライナ軍。現在も同国東部を中心に激しい戦闘が繰り広げられているが、ロシア側の戦死者数について英国防省は5月下旬の段階で1万5000人に達したとの見方を示している。

 ウクライナ側は地の利を生かしたゲリラ戦を多用しているが、今回の戦争で活躍が目立つのがスナイパー。各国の特殊部隊に所属していた経歴を持つ腕利きたちが、外国人義勇軍に参加していることは以前からメディアでたびたび伝えられている。

「ロシア軍に佐官以上の高級将校に多くの戦死者が出ているのは彼らの活躍によるところが大きい。でも、それはスナイパーだけの功績だけでなく、観測手たちのサポートにもよります」(軍事ジャーナリスト)

「観測手」という名前を初めて聞いた人もいると思うが、これは周囲の地形や障害物、敵の規模、自分たちとの距離、風向きなど戦場の状況を把握する索敵役。現場でターゲットに関する正確な情報を伝え、スナイパーに狙撃に専念させるという。

「海外では“スポッター”や“オブザーバー”などと呼ばれ、軍隊では基本的にスナイパーと2人1組で行動します。例えば、自動車のラリーレースではコース取りなどの指示を出す行うナビゲーターが助手席に座ってますが、それと似たような役割です」(同)

 特に現在はドローンを飛ばし、上空から俯瞰して戦場の様子をチェック。敵の正確な位置を掴めるかは観測手にかかっているという。

「そもそも司令官クラスの大物の狙撃は滅多に成功するわけではありません。観測手は最前線でも戦闘にはほとんど参加しませんが、現代の戦争においては作戦全体の成功をにぎるキーマンのひとりなんです」(同)

 戦場では裏方扱いとなっているが、じつは戦況を左右する重要な任務を担っていったのだ。

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