米軍のグリーンベレーやデルタフォース、ネイビーシールズをはじめ、英国軍のSASやSBS、ロシア軍のスペツナズ、フランス軍のGIGN、イスラエル国防軍のサイェレット・マトカルなど、世界最強の部隊と呼ばれる軍隊は数多く存在する。精鋭ゆえに個々の兵士の能力も高いが、決して“世界最強の兵士”ではない。
実は、その称号を持つのは、ネパールの山岳民族で構成された「グルカ兵」。19世紀以降、英国軍の一翼を担い、ロンドンにある同国国防省の近くに彼らの偉業を称える銅像もある。また、傭兵としても人気で世界各地の紛争地帯でも活躍しているが、ネパールのダハル首相は200名のネパール人兵士がロシア軍に加わったことを11日の会見で明らかにしたが、これがグルカ兵だとみられている。
これにネット上では《世界最強の兵士がついに参戦か…》《ウクライナ軍も彼らを相手にはしたくないだろうな》などのコメントが並んでいる。だが、そもそもグルカ兵の戦闘力はそこまで飛び抜けたものなのだろうか?
「体格的に恵まれているわけではないですが標高の高い地域の出身なので心肺能力に優れ、さらに身軽という特徴があります。特に山岳戦では無類の強さを誇り、少数部隊での遭遇戦やゲリラ戦にめっぽう強い」(軍事ジャーナリスト)
英国以外の複数の国の軍隊に雇用されており、さらに「グルカ・セキュリティー・グループ」などの民間軍事会社に籍を置いて傭兵稼業を行う者も少なくない。その数は合わせて5000人近くに上るという。
「じつは、ウクライナ開戦間もない時期から参戦しているグルカ兵もおり、しかもロシア側だけでなくウクライナ軍に参加する者がいることも分かっています。いくら精強なグルカ兵でも大半は最前線で戦っているので戦死者も増えており、11日の会見では前週の戦闘だけで6名が亡くなったことが発表されています」(同)
いくら傭兵とはいえ、敵味方に分かれて同胞同士で殺し合うのは悲劇でしかない。これもまた戦争の現実なのだ。
※画像は英国国防省の近くにあるグルカ兵の銅像