存在感低下の二階俊博氏、“後継”めぐり地元・和歌山は混乱か

「やっぱり…」多くの関係者からそんな声が聞こえてきそうだ。

 12月に任期終了で和歌山県知事選挙が行われる予定だが、現在4期目の仁坂吉伸知事が周囲の予想どおり、15日の県議会で不出馬を表明したからだ。仁坂知事は「多選は好ましくなく」、後任に託した方が和歌山県のためになるとしたが、和歌山県の自民党関係者で額面通り受け取る人は少ないという。

 というのも、和歌山県といえば言わずと知れた二階俊博自民党前幹事長の地元で、二階氏なくして和歌山県政も語れないわけだが、以前から二階氏は仁坂氏の出馬を望んでいないとされていたからだ。

「和歌山県知事では既に5月中に衆院和歌山1区選出の国民民主の岸本周平さんが出馬表明をしています。となると1区は空くわけです。そして二階さんは、その空いた1区に息子を立てるのではないかとの観測がもっぱら囁かれていたからです」(全国紙記者)

 これにはさらに説明が必要だろう。解散がなければ次の衆院選は任期満了の25年10月まで。いずれにせよ次の衆院選で、現在83歳の二階氏は引退と見られる。二階氏の選挙区は和歌山3区。では3区から息子を擁立すればよいはずだが、この区には参院幹事長の世耕弘成氏が鞍替え出馬する予定だ。世耕氏といえば、安倍晋三元首相の最側近で安倍内閣では経産大臣まで務めた人物。将来の首相候補とも言われ、衆院への鞍替えはそのための布石だ。となると、いくら二階氏の息子だと言ってもとても勝てない。ところが岸本氏が県知事となれば、前述のように1区は空く。そこに息子を立てようという腹だというのだ。

「二階さんと仁坂知事の関係は非常に良好。だからこそ逆に二階さんが再出馬に良い顔をしなかったら立つわけにいかなくなる。不出馬の表明の裏には、二階さんの応援が得られなかったということではないでしょうか」(同)

 現在の幹事長の茂木敏充氏は安倍、麻生太郎の重鎮と会合を重ねる一方、二階氏は幹事長を外されてからは存在感が乏しい。二階派では片山さつき、衛藤晟一の2人の参院議員が相次いで派閥を抜け、地元の和歌山でも二階氏が推進していたはずのカジノ誘致は4月に頓挫している。

 加えて後継でも地元を取り仕切る長男と、二階氏の公設秘書で出馬が予想される3男の仲も懸念される。二階氏はまだまだひと踏ん張りもふた踏ん張りも必要なようだ。

(猫間滋)

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