3月25日の記者会見で次期衆院選への不出馬を表明し、事実上の政界引退を決めた自民党の二階俊博元幹事長。会見中、85歳という年齢も不出馬の理由なのかと質問されると、
「年齢の制限があるのか? お前もその歳が来るんだよ、ばかやろう」
と、イラ立ちを隠さずに、鋭い眼光で記者をにらみつける場面があった。
とはいえ、会見には側近の林幹雄衆院議員が同席し、代理で回答する場面が多く、
「ボロが出る前にわずか10分で会見を打ち切った。会話のキャッチボールがスムーズにいかないことも増えてきていて、年齢が引き金になったのは、間違いない」(政治部記者)
“自民党のドン”と恐れられた二階氏が引退を決めたことで、永田町で注目を集めているのは、麻生太郎副総裁の「ドミノ引退」だ。
「静岡の川勝平太知事に劣らず、幾度も失言を繰り返してきましたが、1月末にも上川陽子外相のことを『おばさん』と呼んだり、『そんなに美しい方とは言わんけど』と容姿に言及し、時代感覚がずれていると批判が殺到しました。9月には84歳の誕生日を迎え、長男の将豊氏を後継者にする準備も整い、二階氏に続いて麻生氏も引退を表明するのではないかと、ささやかれています」(前出・政治部記者)
岸田政権の大黒柱でもあるが、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で支持率はジリ貧状態。麻生氏の求心力も衰えを隠せないだけに、噂も現実味を帯びてきそうだが、一方で、自民党関係者は「麻生さんには最後にやり残した仕事がある」と言って、こう続ける。
「昨年11月に岸田文雄総理直轄で新組織『安定的な皇位継承の確保に関する懇談会』を立ち上げ、会長に麻生さんが就任しました」
初会合で「皇室典範等の法改正の必要も考えなければならない」と意気込みを見せると、3月18日に2回目の会合が開かれ、旧宮家の男系男子が養子縁組で皇籍復帰する案など話し合いを進めていくという。
「麻生さんはかねてから、女系天皇を認めることは『ありえない』ときっぱり否定しています。皇位継承問題の道筋をつけるまでは、引退することはないでしょう」(前出・自民党関係者)
次期衆院選までに“決着”がつけば、麻生氏も決断に踏み切るか。ただ、それ以前に、“長老”議員に国民がゲンナリしていることに気づいてほしいものだが…。
(風吹啓太)