自民党“目クソ鼻クソ”5番勝負【二階俊博VS世耕弘成】「二階世襲」を許すまじ!離党男が和歌山2区で背水の陣

 安倍派幹部への厳しい処分で一応の幕引きを見せたかに見える裏金問題。だが、それは同時に遺恨バトル第2ラウンド開戦の合図でもあった。舞台は新和歌山2区。2世代にわたる陣取り合戦の行方やいかにーー。

 離党勧告を受け、自民党を去った世耕議員。政治ジャーナリストの青山和弘氏は処分の発表がある前に、直接本人から、

「処分が出たら、潔く瞬時に離党する」

 と告げられたという。

「常日頃、総理を目指すと公言している世耕議員は、このままくすぶるのが嫌なんでしょう。言い訳もせず離党したのは、次の衆院選に、無所属でくら替え出馬することが視野に入っているからだと思います。総理になるには、衆議院議員である必要があります」(青山氏)

 大願成就のために、ピンチをチャンスに変えるつもりなのだ。

 そこで立ちはだかるのが、お膝元である和歌山県の大物、二階俊博議員(85)だ。世耕議員がくら替えを狙っていた経緯から議席を取り合う関係でもあり、ここ10年ほどは緊張状態が続いていた。とはいえ、来る選挙で直接対決するわけではない。

「二階議員は裏金発覚で処分を受ける前に、派閥の親分として次回の衆院選への不出馬を岸田総理に申し出ました。和歌山は22年の公職選挙法改正で、小選挙区数が3から2に減少。世耕議員はこの新和歌山2区からの出馬を目論んでいるとみられ、そこに自民党が公認候補として二階議員の秘書を務める三男を送り込むことが、確実視されています」(政治部デスク)

 当然ながら同一の選挙区で世耕議員と二階ジュニアの両者を公認するわけにもいかない。そんな理由から、世耕議員に離党勧告を突きつけたといぶかる声すら聞こえてくるという。

 その一方で、和歌山県といえば昨年11月開催の「過激ダンス懇親会」で地元県連が猛批判を浴びた因縁の地。これを世耕議員がもはや「党の看板は不要」と判断した一因と見るムキもあるが、ジャーナリストの山村明義氏はこう言う。

「二階議員は永田町でも名うての老獪さを持つ政治家です。世耕氏の離党に一枚かんでいてもおかしくない。鞍替え選挙で負ければ政治家生命がほぼ絶たれるだけに、立候補すらできないかもしれない、と読んだかもしれません。対して世耕議員は、即日の離党で潔さをアピールし、機先を制したつもりかもしれないが、現状では圧倒的に不利な立場にあると思います。なにせ和歌山2区は、〝二階王国〟と呼ばれるほど二階さんの影響力が大きい選挙区ですからね。何なら、2つの選挙区で長男と三男の兄弟W当選すら狙っている、と噂されるほど、地元を知り尽くしています」

 前出・青山氏は、二階王国に付け入るスキはあると踏んで、世耕氏は背水の陣を敷くと見る。

「世耕議員は、勝算があると見ているはず。二階議員の長男は16年に地元・御坊市長選で落選して、ミソをつけています。もう1人の候補の三男は、裏金問題が発覚した事務所で秘書をしていました。『子供を応援する義理はない』と考える人も多いのが実情です。ミソギを済ませて、背水の陣で臨めば勝機もある。次が乾坤一擲の勝負だと腹をくくっているでしょう」

 王の威光が勝つか、総理への執念が勝つか――。

(つづく)

*世耕氏の画像は官邸HPより

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