焼鳥チェーン大手「鳥貴族」を運営する鳥貴族ホールディングスが3月28日、全店における価格を改定することを発表。全品327円均一で提供していたものを4月28日から350円均一に、食べ放題の「トリキ晩餐会」も3278円から3500円に値上げするとしたが、今回の値上げでは再び客離れが深刻化する可能性があると指摘する声もある。
「同チェーンの値上げは17年10月以来、約4年半ぶりとなります。なお、今回に関しては人件費や原材料、水道光熱費、資材等のコスト上昇が要因だといい、値上げすることで『コスト増への対応のみならず、人手不足の解消や従業員が働きやすい環境づくり推進の一助とする』としています」(社会部記者)
鳥貴族は創業当初、150円、250円、350円という3つの価格を設定していたが、大倉忠司社長の判断で全品250円均一に変更され、1989年に消費税が導入されたことを機にはじめての値上げを実施し、税抜280円均一に価格を改定した。その後も低価格居酒屋として成長を続け、関東・関西・東海の3商圏で1000店舗という目標を掲げていたが、17年10月に327円均一(税抜298円)に値上げすると急速な客離れが起こり、19年7月期の連結業績では上場以来初となる赤字に転落している。
「さらに、新型コロナウイルス感染拡大による時短営業や酒類提供の自粛によって、最大で売上高が前年同月比96.1%減となるなど3期連続で最終赤字となり、3月11日に発表された2021年8月~22年1月期連結決算も営業損益が18億円の赤字となっています。コロナ禍で売上が大きく落ちている上に人件費や材料費は高騰していますから、今回の値上げは避けることができないものだとは思いますが、全品350円均一では他の居酒屋チェーンとそれほど変わらない価格水準になる。料理によっては割高に感じるものも出てきてしまうので、値段以上の何かで差別化ができなければ、さらに客離れが進行してしまう可能性もあるでしょう」(経営コンサルタント)
鳥貴族復活のカギとも言われるチキンバーガー専門店「トリキバーガー」はまだ都内に2店舗のみ。柱に成長するまでに本体を立て直せるか。
(小林洋三)