地域密着の危機!?「鳥貴族」の「やきとり大吉」買収で飛び交った懇願の声とは

 鳥貴族ホールディングス(HD)が9月13日、焼き鳥チェーン「やきとり大吉」を展開するダイキチシステムを買収すると発表したが、大吉ファンからは不安の声が上がっている。

「大吉は1978年に創業した焼鳥チェーンで、駅から離れた住宅街に小規模店を展開。全店がフランチャイズというスタイルで店舗数を増やし、現在は500店舗超を展開する一大チェーンです。基本的には郊外の小規模店を、店主とその家族、またはアルバイトで店をまわす地元密着型で、コロナの影響もそれほど受けずに好調を維持しているのです」(フードライター)

 鳥貴族HDはサントリーHDが持つダイキチシステムの全株式を来年1月に取得するという。買収額は非公表で、全国に500店舗超ある店舗はそのまま「やきとり大吉」として営業を続ける。関西、関東、東海の繁華街を中心に出店し、20代〜30代がメインの「鳥貴族」とは客層は重ならず、「互いの顧客を奪うことなく共存共栄できる」と鳥貴族HDは自信を口にしている。

「しかし、地元密着型で店主によって異なる味が楽しめる大吉のファンからは《大吉は良くも悪くも店主任せなところがあって、そこが魅力になっている。鳥貴傘下になってどこで食べても同じみたいに味を画一化させないでほしい》《大吉はチェーンだけどほとんど個人店みたいなのがいい。仕入れを統合して全店で味を揃えるというのは絶対やめてもらいたい》《独り呑みが好きなおじさんとしてはあの渋い雰囲気や味わいが好きだから、メニューも鳥貴と一緒とかはやめてもらいたい》などリクエストする声が相次いでいる。

「これまで大吉は、各店主が独自の判断で地元の業者からそれぞれ食材の仕入れをしていたので、鳥貴族HD傘下になって仕入れを統一するとなれば、これまでのメニューとは味が変わってしまう可能性はあると思います。ただ、そもそも『鳥貴族』はセントラルキッチンは持っておらず、焼き鳥も店内での手作業による串打ちにこだわっているので、大吉の店主の自主性を大切にする部分は完全には無くならないとは思います」(前出・フードライター)

 果たして、「やきとり大吉」は鳥貴族HD傘下でどんな化学変化を起こすのだろうか。

(小林洋三)

ビジネス