大坂なおみも欠場示唆、「非公式戦扱い」のウィンブルドンに世界から大ブーイング

 昨年5月、全仏オープンで「今後は試合後の会見に応じない」と宣言。同大会を途中棄権して以降、不振が続いている世界ランキング38位(5月28日時点)の大坂なおみ。その彼女が先日、6月にロンドンで行われるウィンブルドン(全英オープン)への出場辞退を示唆したことが大きな話題となった。

 テニスの4大トーナメントで最も権威のある大会だが、欠場の意向を示した選手は複数に及ぶ。その背景にはATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)が下した“ある裁定”が大きく影響している。

「通常、テニスのトーナメントは五輪や国別対抗のデビスカップなどを除き、大会ごとの成績に応じて世界ランキングに反映されるポイントが付与されます。しかし、今年は大会を主催する英国のオールイングランド・ローンテニスクラブ(AELTC)がウクライナへの軍事侵攻に抗議し、ロシアとベラルーシの選手の参加を認めない決定を下しました。そのため、ATPとWTPはこれに対抗してポイントを付与しないとし、事実上の非公式戦扱いにしたわけです」(スポーツジャーナリスト)

 この措置を大坂は「エキシビションのよう」と表現。ちなみに男子では世界ランキング2位のメドベージェフ、7位のルブリョフがロシア国籍、女子も8位のサバレンカ、15位のアザレンカがベラルーシ国籍で50位以内だと男女合わせて10人以上もいる。上位ランカーの1割以上が出場できなくなったため、ポイント付与中止は彼らへの救済措置というわけだ。

「賞金はそのままのようですが、ランキングが今後の活動に直結してくる選手にとっては死活問題です。80年代に活躍した元世界ランク1位で現在は解説者のジョン・マッケンロー氏も『ウィンブルドンの決断も間違っているし、ポイントを与えないATPとWTPもおかしい』と双方を激しく批判し、男子1位のジョコビッチも『(出場してもノーポイントは)大きな痛手』とコメント。テニスファンの間でも『仕方ない』との声が多い一方、『ファンや選手のことを考えていない』と厳しい声が世界中から寄せられています」(同)

 選手たちのモチベーションが下がるようなことにならなければいいが……。

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