ロシア企業を600億で買収「飯田グループHD」社運を賭けた投資が裏目に?

 ウクライナに軍事侵攻したロシアから撤退する西側諸国の企業が相次いでいる。日本企業も例外ではなく、営業続行の方針から一転して休業したユニクロ、撤退後も現地運営会社が別の店名で勝手に営業を続ける丸亀製麺はニュースでもたびたび取り上げられた。

 ただし、両社ともロシア国内での売り上げは会社全体の利益のごく一部。痛手であっても経営が傾くほどではないが、なかには深刻な影響を受けている企業もある。建売住宅国内最大手の飯田産業を運営する飯田グループホールディングスだ。

 同社は米国やフィリピン、インドネシアなどにも進出しており、ロシアにも14年に子会社を設立。住宅メーカーの海外展開は珍しくないが、ロシアを選んだのは住宅マーケット以外に大きな目的があった。

「住宅建材用の木材の調達です。ロシアは国土の大きさだけでなく森林面積も世界一。今年1月には森林企業としては同国有数の規模を誇るロシアフォレストプロダクツ社を買収しています」(業界誌編集者)

 ところが、経済制裁によりロシア産の木材は現在日本に輸入することができない。まさか傘下に加えた翌月に戦争が始まり、こんな状況になるとは想像もしていなかっただろう。

「しかも、買収にかかった費用は600億円。現状ではロシア国内での住宅用資材にしか使えません。戦争の影響で世界各地でウッドショック(木材不足)が加速しており、木材の入手が難しくなっただけではなく価格も高騰。住宅価格への影響は避けられないでしょう」(同)

 ロシアで行っていたのが住宅建設と販売だけなら撤退もまだ可能だったと思うが、森林会社を所有する現在はそれもできない。やはりロシアのようなトップが強権を持つ専制主義的な国でビジネスを行うのは簡単なことではないようだ。

ビジネス