“ドロ沼”阪神、コロナ感染者続出の不運続きで思い出される「裏訓示」

 阪神も「試合中止」となる可能性が出てきた。しかし、ドロ沼状態にあるチームを救うヒントは二軍に見られた。

「江越が新型コロナウイルスの陽性と判断されたのは12日夜でした。13日先発予定だった伊藤将司、翌14日の先発が有力視されていた藤浪晋太郎も陽性と判明し、馬場皐輔、山本泰寛も濃厚接触者の疑いがあるため抹消されました」(在阪記者)

 虎ベンチが人員不足に陥った。深夜のうちに平田勝男二軍監督のもとにSOSの連絡が入り、尾仲祐哉、加治屋蓮、石井大智の3投手が「代替指定選手」として一軍に送られることになった。
 
「選手数の話だけなら、二軍はさらに深刻です。故障者、感染者が続出しており、13日の二軍戦の試合成立も危ぶまれたほど」(球界関係者)

 江越に代わって、植田海の一軍昇格も決定した。投打の人員不足は“一軍以上”だが、平田二軍監督は動じなかった。

 片山雄哉をサードに、長坂拳弥をレフト、藤田健斗をファースト、DHに中山勇斗を起用したのだが、なんと4人とも捕手登録の選手である。試合は2対14と大敗で、長坂が落球するなど不慣れなポジションに入った代償はいくつも見られたが、平田二軍監督は、

「大変じゃないよ。大変と言ったら我々の仕事がなくなるやん。チャンスやんか?」

 と、声を張り上げて反論したそうだ。

「故障していた原口文仁もこの状況を知り、復帰の前倒しを申し出たそうです。14日から出場する予定」(前出・在阪記者)

 その二軍戦、野手での試合出場が可能だったのは、ギリギリの9人。しかし、「何とかしなければ」の危機感と前向きな気持ちでベンチは一丸となり、昨季のファーム日本一を決めたときと同じくらい声も出ていた。

「一軍は結果が全て。一概に比較できませんが、メンタル面ではファームのほうが逞しさを感じました」(同)

 熱血指導の平田二軍監督らしいゲームになったようだが、こんな指摘も聞かれた。

「平田二軍監督は85年の優勝、日本一だけではなく、その後の暗黒時代も経験しているので…」(前出・球界関係者)

 暗黒時代、チームにはこんな「裏訓示」もあったそうだ。チャンスはピンチ、ピンチは大ピンチ——。一打逆転の好機で打順がまわってくる。ここで打たなければ大バッシングを浴びる。連打を食らってピンチを招き、さらに打たれたら、即刻二軍落ち。そんな状況を指して語られていたそうだ。

 窮地に陥ったとき、気持ちの面でも落ち込んだら、長い「暗黒時代」が待っていることを平田二軍監督は身をもって知っているのだ。矢野監督にも「ピンチはチャンス」と伝えれば、不振脱出のきっかけを掴めるのでは? 

(スポーツライター・飯山満)

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