“恋女房”をナゼ奪う? 勝てないダルビッシュ、球団に厳しい声も

 パドレスのダルビッシュ有が今季2度目の登板となったSFジャイアンツ戦で9失点と大炎上してしまった(4月12日/現地時間)。

 1回3分の2でのKO劇は、前回登板の開幕戦で見せた快投(6回無安打)とは、まるで別人。そこで再び議論となったのが、ダルビッシュの恋女房、パーソナル捕手とも呼ばれていたビクター・カラティーニの放出に関する賛否である。

「開幕戦前日の4月6日、ブルワーズに放出しました。ブルワーズは正捕手のセベリーノが禁止薬物の使用で80試合の出場停止処分となり、パドレスでも二番手に甘んじていたカラティーニに白羽の矢が立ったわけです」(米国人ライター)

 パドレスも有望な若手2選手を交換要員として得たが、トレードが成立した当初、「大きな影響は出ない」と目されていた。その理由は簡単だ。昨季後半、ダルビッシュとカラティーニ捕手との間にすきま風が吹いていたからだ。

「昨季7月以降、ダルビッシュがなかなか勝てなかったからです。対照的にカラティーニ捕手は、カブス時代のミルズに続いて、パドレスではマズグローブをノーヒットノーランに導き、そのリードに評価が集まっていました」(同)

 カラティーニの放出により、控え捕手だったオースティン・ノラと公式戦初バッテリーを組んだが、前述のとおり開幕戦では完璧に抑えている。その好投が嘘のような大乱調だ。

 パドレス首脳陣はダルビッシュに2ケタ以上の勝ち星を計算している。そのエースが勝てなくなれば、カラティーニの放出は間違っていたということになる。

「ダルビッシュは試合で投げてみなければ分からない投手でもあるんです。一般論として、調子の悪い投手はブルペン投球を始めた時点で分かるものなんですが、ダルビッシュは違います。『今日は変化球のキレが良くない』と思っていたら、試合では別の球種を軸に配球を組み立て直して勝ってしまう」(同)

 多彩な変化球を操るダルビッシュだからこそできる「試合中の切り替え」なのだろう。そんな投球センスを引き出すのも、ノラの今後の課題だろう。

「カラティーニが移籍したブルワーズは先発投手が豊富で、昨季の防御率はリーグ2位の3.13。パドレスの最大の失敗は、ダルビッシュから“専属捕手”を奪ったことよりも、同じナ・リーグのライバルチームに、配球を知り尽くしている捕手を放出したことです」(前出・米国人ライター)

 目下、パドレスはナ・リーグ西地区2位。チームが好調な中、まだ勝ち星のないダルビッシュの投球が議論の的にされそうである。

(スポーツライター・飯山満)

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