特殊部隊による作戦は、通信傍受にも及んでいる。防衛省関係者は、
「ロシア軍の最前線では、古色蒼然たるアナログ式の通信が行われています。そのため、米英の特殊部隊は最前線と後方の兵站部隊などとの間でやりとりされる、ほぼすべての通信を易々と傍受できるのです」
と明かした上で、さらなる内情を耳打ちした。
「この間、少なくとも5人のロシア軍司令官が最前線で戦死したと伝えられていますが、これも筒抜け状態と言われる通信傍受がもたらした戦果だったとされています。その後、米英の特殊部隊による通信傍受を警戒したロシア軍の中には、最前線で殺害したウクライナ民間人の携帯電話やスマートフォンを奪い、これらを兵站部隊などとの通信に利用している部隊もあるようですが、やはり通信内容はほとんど筒抜け状態だというのです」
そんな中、緒戦の段階で奪われたウクライナの制空権を奪還すべく、ポーランドが旧ソ連製のミグ29戦闘機をウクライナ軍に提供した上で、アメリカがその穴埋めのためにF16戦闘機をポーランドに供与する、という計画も浮上した。
その後、ロシアとの直接戦争に発展することを恐れたポーランドによって、ドイツにある米軍基地からアメリカがミグ29戦闘機をウクライナ軍に提供するとの新計画も提案されている。しかし結局、この新計画もNATOとロシアとの全面戦争を警戒するアメリカによって頓挫。それでも一連の計画は、別の形で秘かに進められているという。
「実はその後、ポーランドは旧ソ連製の長距離地対空ミサイルS300をウクライナの西部地域に次々と運び入れています。S300はトラックで牽引するタイプの移動式の地対空ミサイルで、すでに相当数のロシア軍の戦闘機や巡行ミサイルなどが撃墜されたと聞いています。ロシア軍がいまだにウクライナ西部の制空権を掌握できていないのは、ミグ29に代わってS300が急遽、実戦配備されたからなのです」(軍事アナリスト)
さらに言えば、ロシア軍が首都キエフの陥落に成功し、ゼレンスキー大統領の身に危険が迫った場合、米英の特殊部隊はゼレンスキー大統領をNATO加盟の隣国に脱出させる極秘ミッションを実行に移す手筈にもなっている。
「ゼレンスキーはキエフにある大統領府に常駐しているわけではありません。昨年12月以降、米英の特殊部隊は市内に点在する地下執務室を転々とさせる形で、大統領の身の安全を確実に図ってきたのです」
とは、国際政治アナリストの弁である。
以上の情勢をプーチン側から眺めれば、英仏間の公海上に核ミサイルをブチ込まなければならないほど追い詰められてしまった、ということになる。
世界の終焉にもつながりかねない全面核戦争を回避するためには、週刊アサヒ芸能3月17日号でも指摘したように、クーデターも含めた「プーチン排除」以外、手は残されていないのかもしれない。
*「週刊アサヒ芸能」4月7日号より