ウクライナ戦争の影響で航空機ヨーロッパ便の「極圏航路」が復活か

 ウクライナへの軍事侵攻に対し、欧米各国が次々とロシア航空機の乗り入れや飛行を禁止。これにロシアも自国領の飛行禁止という対抗措置に踏み切った。対応が注目された日本も貨物便を含む多くのフライトが欠航となる中、4日から一部の便はJALとANAが同国上空を迂回するルートで運航している。

 まるで冷戦時代に逆戻りしたような状態だが、気になるのは日本〜ヨーロッパ便のルート。JALの羽田〜ロンドン便は、北極上空を飛ぶ極圏航路に、ANAの成田〜ブリュッセル便は中国からトルコをほぼ真横に飛行する中央アジアルートに変更されている。特に北極超えの極圏ルートはソ連崩壊前の主要航路で、往年の利用客には懐かしい。ただし、アラスカのアンカレッジ国際空港への一時寄港は現時点では予定されていない。2日に行われた会見でも両社の社長は否定している。

「昔に比べて航空機の燃費性能が大幅に向上しており、15時間以上のロングフライトでも途中給油せずに向かうことが可能だからです。ただし、搭乗人数や荷物などの積載重量によって航続距離は変わり、海外では途中寄港を検討している航空会社もあるとの報道も出ています。燃料に余裕を持たせて飛行するという考えもありますし、可能性はゼロとは言えないでしょうね」(航空ジャーナリスト)

 ちなみに航空ファンの中には、アラスカ〜ヨーロッパの北極ルートを歓迎する人も多い。日中であれば上空から雪や氷に覆われた北極やグリーンランドを眺めることができ、夜ならオーロラを鑑賞できるからだ。

「エコノミークラスだと長時間のフライトはキツいですが、日系航空会社のビジネスクラスやファーストクラスは世界的にも評価されており、居心地は抜群。『もっと居たかった』という人も多く、フライト時間が伸びても苦にならないはずです」(同)

 一時的な措置とはいえ、今後の情勢次第では長期化する恐れも。そうなればジェット燃料が余計にかかる分、運賃値上げの可能性もあり、歓迎できる状況ではなさそうだ。

(高島昌俊)

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