ウクライナ空軍大損失!エリート・トップガン「キーウの幽霊」死亡の衝撃

 これまでは、核保有国ロシアとのエスカレーションにつながるとして、超音速戦闘機F-16提供に否定的だったアメリカと北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国が、ウクライナへのF-16供与に舵を切ったのは今年5月のこと。この決断を受け、オランダ空軍から42機、デンマーク空軍から19機のF-16が供与されることが決定。計61機のF-16戦闘機が来年初めまでにウクライナに到着することになった。

 とはいえ、F-16を乗りこなすにはベテランパイロットでも約5カ月かかるとされ、米国防総省は10月からアリゾナ州で操縦訓練を開始すると発表。そんな矢先の今月26日、ウクライナ軍から発表されたのが、F-16を操縦する可能性があった3人の腕利きトップガンが練習機2機の衝突により死亡したという衝撃的なニュースだった。

「3人は前線から数百キロ離れたジトミル州上空でL39練習機を訓練中、何らかのアクシデントにより衝突。亡くなったうちの1人、コールサイン『ジュース』のアンドリー・ピルシュチコフ少佐は、ウクライナ侵攻が始まった当初、首都キーウ防衛戦でロシア軍機を多数撃墜し、日本の漫画にちなんで『キーウの幽霊』と名付けられ、一躍有名になった超エリート航空部隊の一員だったそうです」(全国紙国際部記者)

 この衝撃事故を受け、ゼレンスキー大統領は動画演説で、「痛ましく取り返しのつかない喪失だ。膨大な知識と才能のパイロットだった。ウクライナの自由な空を守った人々を我々は決して忘れない」と述べ、また、ウクライナ空軍のイーナト報道官も、フェイスブックで少佐を追悼、同氏の功績をこう称えている。

《少佐はカリフォルニアのパイロットたちと常に連絡を取り合い、F-16の供与を推進するため、働きかけ続けたグループの中心的存在だった。彼がどれだけF-16を操縦したがっていたか…(中略)アメリカの戦闘機がもうすぐやってくるというのに、彼は乗れない…》

「英語が堪能だったピルシュチコフ少佐は、欧米メディアの取材にも積極的に応じ、ウクライナ空軍に入ることが幼いころからの夢で、戦闘機パイロットとして働くことが自分の任務だと話していました。だからこそ、高性能戦闘機F-16の操縦は、文字通り彼にとって目標であり、夢だったのかもしれません」(同)

 ウクライナ政府は、F-16訓練の第1弾として32人のパイロットを選出。その中で同氏は、最初の専門英語の特訓と操縦の訓練を受ける6人のうちの1人だったとされる。戦闘機供給を目前にした、このトップガン死亡がウクライナ空軍にもたす影響はあまりにも大きい。

(灯倫太郎)

ライフ