今年も高齢者をターゲットにした特殊詐欺による被害が頻発。なかでも、被害件数が最も多い還付金詐欺を食い止めようと、12月初旬から長崎県警と福岡、佐賀両県警が合同で、現金自動預払機(ATM)コーナーでの携帯電話の利用自粛呼び掛けをスタートさせた。
還付金詐欺は、市役所などの自治体や年金事務所の職員を名乗り、「払いすぎた保険金の返金ができる」「医療費の還付が受けられる」などとして、ATMに誘い出し、電話で操作を指示しながら現金を振り込ませる手口。
「ATMに移動させたら、携帯電話で『あなたの個人番号を入力してください』と指示、振り込み金額を入力させ、最後に『確認』ボタンを押させます。被害者は自分の口座に還付金が振り込まれたと勘違いしますが、実際は犯人の指定口座にそのままの金額が入金されているというものです」(犯罪に詳しいジャーナリスト)
つまり、通話しなければ被害に遭わないことから、3県警はATM付近での通話を自粛するよう呼び掛けるポスターを作製。金融機関に掲示を依頼しているというが、
「犯罪者側もそこは心得ているため、事前に被害者の自宅周辺をリサーチし、警察や管理者の目が届きにくい無人のATMを指定する場合が多く、それも犯罪件数を減らせない要因になっているようです」(同)
12月上旬には、札幌市在住の60代男性が計1億6600万円の架空請求詐欺に遭った、とのニュースが大きく報じられた。この男性の場合、お金を振り込んだのが入院先の病院にあるATMだった。
「銀行窓口や街角のATMでは警察官の巡回、警戒も徹底されていますが、病院内でも詐欺が出来るということ。入院したり病院通いしている高齢者は多いですから、今後は院内ATMへの注意・警戒も必要になってきますね」(同)
とはいえ、いまやATMで電子マネーのチャージをすることが普通になってきた時代。ATM内でスマホを操作することはままあり、取り出しただけで注意されるのも煩わしく感じる人もいるだろう。ということもあり、このニュースを受けSNS上には《コンビニのATMでスマホ出しただけで職質なんてあり?》《スマホでATMから出金する時代、チャージもアカンの?》《コンビニだとクーポン取ったり発券したり電子マネー入金したりでスマホ大活躍なんだけど》《電話しながらならヤバいかもしれないけど、ただ触ってるだけなら判断が難しい。区別がつかないんじゃない?》など、戸惑いと不安の声が続出している。
自分は大丈夫と思う人が度々騙されている特殊詐欺。「還付金」や「ATM」というワードが出たらすぐに家族や警察に相談していただきたい。
(灯倫太郎)