大井競馬場「左回り」は内枠の先行馬を狙え【前編】世界唯一の左右両回りコースへ

 11月19日、これまで「右回り」のみで行われていた大井競馬場で「左回り」のレースが新設された。現在、両回りでレースが行われる競馬場は世界を見渡しても皆無。左回りは1開催につき1レースのみだが、右回りに慣れた大井所属馬の限定レースだけに、波乱のニオイがプンプンと…。

 東京シティ競馬(TCK)の愛称で知られる大井競馬場が、またまた新施策で競馬ファンを楽しませてくれそうだ。スポーツ紙記者が解説する。

「大井といえば、カクテル光線とビールでしょう。都心からも近く、仕事帰りの若いサラリーマンやOLが詰めかけ、デートスポットとしても注目されるようになったのは、法改正に積極的に取り組み、86年7月に国内公営競技初のナイター『トゥインクルレース』を実施できたからこそ。今回、左回りを新設したのも、ダートの大レースの多くが左回りで行われている状況を踏まえての新たなチャレンジです」

 JRAのダートGⅠは、フェブラリーSとチャンピオンズCの2つで、いずれも左回りの競馬場を舞台に行われている。

「TCKは米国のサンタアニタ競馬場(左回り)と95年に友好交流提携を結んでいて、それ以降、米国では友好交流競走(GⅢ)が毎年行われています。TCKも年末の大一番『東京大賞典』で、地方競馬では初となる国際GⅠの格付けを取得するなど、国際化を目指してきた。今のところ左回りはダート1650メートル戦のみですが、これを機にダートの本場である米国馬の来日や、大井から世界に羽ばたく馬が登場するかもしれません。夢が広がりますね」(スポーツ紙記者)

 10月26日、TCKのサイトに「大井競馬場は世界唯一の左右両回りコースへ」というニュースとともに、特設サイトが公開された。競馬ライターが解説する。

「両回りで行われていたフランスのメゾンラフィット競馬場(現在は閉場)を参考に、調教師や騎手などの意見も踏まえ、スタートやゴール地点の決定や改良点など、4年間かけてやっと実現する運びとなった。ただ、馬が左回りに即応できるかどうかは気になりますね。他の南関(川崎、船橋、浦和)は3場とも左回りですが、大井は中1〜2週で開催されるため、大井所属馬はあまり他場に遠征しませんから」

 左回りでは、3コーナーから4コーナーに向かう途中でパドックの出入り口が馬の視野に入ることから、出入り口をズラすなどの対策も講じられたが‥‥。

「模擬レースを終えた騎手たちの反応は微妙で、不安解消という口ぶりではなかった。3コーナーの先にはポケットと呼ばれる右回り1400メートルのスタート地点がある。ここはゲート練習にも使われる場所ですし、出入り口をズラしたといっても少しですから、4コーナーを回る時に馬が見てしまう可能性もある。『3、4コーナーを抜けて最後の直線を向くまでは気が抜けない』と話していました」(競馬ライター)

*「週刊アサヒ芸能」11月25日号より【後編】へつづく

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