マッハ5以上で迎撃不可能!北朝鮮「極超音速ミサイル」の激ヤバ性能

 北朝鮮が新たに開発した対空ミサイルの発射実験を9月30日におこなった。その2日前の28日には、”極超音速(ハイパーソニック)”の地対地ミサイルを発射させている。朝鮮中央通信の発表によれば、極超音速ミサイルは「火星8」と名付けられ、中国との国境に近い内陸部、慈江道都陽里から発射され、約200kmを飛翔した後、日本海に落下したという。軍事ジャーナリストが語る。

「極超音速ミサイルは、2019年末にロシアで実戦配備されたことが報道され話題になりましたが、これは『アバンガルド』という名称の中距離極超音速弾道ミサイル(IRBM)で、速度はなんとマッハ20以上。最大16発の弾頭搭載が可能です。さらに昨年、試射成功が伝えられた新型極超音速巡航ミサイル『ジルコン』も、マッハ8以上で敵空母などを打撃できる射程1000キロのミサイルで、ロシア軍は来年中に水上艦、あるいは潜水艦などへ実戦配備するとしています。極超音速ミサイルは、あまりに高速なためイージスSM-3ミサイルでの迎撃が不可能。仮に、今回北朝鮮から発射された『火星8』がロシアの技術を導入したものなら、完成間近と考えても不思議はない。また、北朝鮮は今回の極超音速ミサイルの射程は1500キロと発表していますが、それが事実なら日本列島がすっぽりおさまってしまう距離。日本にとってこれ以上ないくらいの脅威です」

 今回の実験では最大射高が30kmだったこと、200kmしか飛翔していないこと、さらに速度がマッハ3しか出ていないことなどから、専門家の多くは「まだ開発段階である可能性が高い」と指摘するが、前出のジャーナリストによれば、

「極超音速ミサイルを完成させているのは、もちろんロシアだけではありません。中国も2019年10月の建国70周年軍事パレードで、核弾頭型の極超音速滑空体を搭載し、マッハ10以上で飛行可能な極超音速ミサイル『DF(東風)17』を公開しています。中ロの極超音速ミサイルが配備され、北朝鮮の『火星8号』もそれに追随するとなると、今後、日本を含め米中露の関係がより一触即発の状態に突入することは間違いない」という。

 そんな状況の中、米国が指をくわえてみているはずもなく、米軍も先月27日(現地時間)、音速の5倍のスピードで飛ぶ極超音速ミサイルの試射に成功したと発表した。

「米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)によれば、このミサイルは先端技術が適用されたスクラム・ジェット・エンジンを積み、大気圏をマッハ5(音速の5倍)以上のスピードで目標物を打撃できるというもので、空軍の戦闘機に搭載可能な兵器といわれています。こうした極超音速ミサイルの進化で、既存のミサイル防衛システムがまったく使い物にならないということになりかねません」(前出・ジャーナリスト)

 先月30日には日本の外務省と米国務省、韓国外交省の朝鮮半島平和交渉本部長が電話で協議し、ミサイルを含めた北朝鮮情勢について議論。引き続き日米韓で連携していく方針で一致したと伝えられるが、山積する北朝鮮問題。ともあれ、岸田新内閣の手腕に期待したい。

(灯倫太郎)

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