総裁選で岸田氏、はたまた立候補を表明した高市早苗前総務相(60)ら、その他の候補者が勝つにしろ、衆院選は自民党の苦戦が予想されている。
「党が8月下旬に行った情勢調査で、40〜70議席減らす可能性があるという結果が出ました」(自民党関係者)
次の選挙の衆院定数は465で過半数は233。現在、自民党は276議席なので額面通り受け取れば、自民党単独での過半数は微妙なところ。最悪のケースでシミュレーションすると、70議席減れば206で、公明党の現在の29議席と合わせても235議席で薄氷を踏む結果になる。
7月の都議選では事前調査よりも大幅に獲得議席が少なかっただけに、
「自公与党で過半数割れもある」(自民党中堅議員)
と、党内でも警戒する声が広まっていた。そんな中、安倍氏は先の月刊誌で衆院選の勝敗ラインに言及。
「与党で過半数を獲得すれば明確な勝利だ」
と、17年の衆院選と同じ目標を掲げている。選挙戦の懸念は、国民に渦巻くコロナ対策への不満だろう。
誰が選挙の顔になっても批判は免れず、票の行方を左右することが予想される。それを見越して安倍氏がウルトラCの秘策として目論むのが、橋下徹元大阪市長(52)の政界復帰だ。
「2人は第2次安倍政権の前から親交が続く仲です。第1次政権が終わり、安倍氏が『過去の人』扱いされて存在感が薄くなっていた時に、大阪でバリバリ活躍していた橋下氏が、自民党からの離党と新党の立ち上げを打診。そこでスポットライトを浴びたことで安倍氏は政治家として息を吹き返したと言われています」(政治部デスク)
15年に橋下氏が政界引退してからも、安倍氏、菅総理、日本維新の会・松井一郎大阪市長(57)の4人で年末に食事会を催すのは恒例行事。安倍氏は総理だった昨年6月にも、橋下氏が司会を務めるインターネット番組に出演するほど気脈を通じていた。
そんな橋下氏を是が非でも政界に呼び戻したいのはなぜなのか。政治部デスクが説明する狙いとは─。
「橋下氏が衆院選に出馬となれば話題は一色に染まり、自民党にとって厳しいコロナ対策も争点からずれてくるはず。最も大きいのは、維新を加えた『自公維連立政権』の樹立です」
維新の現有議席は11で、自公に足せば安倍氏が目標に掲げる「与党で過半数」は余裕でクリアとなり、キングメーカーの面目躍如となる。安倍氏がほくそ笑む展開がこの先に待っているのだ。
*「週刊アサヒ芸能」9月16日号より。(4)に続く