日経平均株価はどこまで上げるのか。それが目下、市場関係者の最大の関心事だ。
9月3日に菅首相が退陣を発表してから3万円を切っていた株価が3万円台で続伸していたからだ。ところが9月21日に久々に3万円を割って660円安となった。これは主要因として中国不動産大手の中国恒大集団の経営不安が伝えられたからで、しばらくは様子見の状況が続くかもしれない。
「とはいえ、菅首相退陣で日経平均が上昇局面に入ったのは事実。どこまで上げるのかは今後の推移を見守るしかありませんが、直近の1つの指標としては、約7500円下げた20年3月のコロナショックと日本でも本格的に感染が拡大した2月〜8月までの約3500円の下げを取り戻すのではないかという見方です。その場合、3万4000円近くまで上がることになります」(経済ジャーナリスト)
今後の政治スケジュールとしては29日に総裁選が行われ、次に控えるのが衆院選。正直言って岸田文雄、河野太郎、高市早苗、野田聖子の4候補の経済政策は大差ない。とにもかくにも総裁選で選ばれた首相を自民党が支えていこうという体制ができれば衆院選で議席が大きく落ち込むことはないだろう。であれば、新体制の期待に応じてしばらく上昇局面は続きそうだ。
「各候補の経済政策を見ると、例えば河野さんはデジタル、グリーンの技術革新を核に成長を図るとあります。となれば、突破力が売りの人ですから、これらの関連銘柄を中心に株価を押し上げるでしょう。岸田さんはあまり個別政策はありませんが、地方のデジタル化を掲げているのでやはりデジタル関連銘柄が、野田さんは『こどもまんなか庁』の創設を掲げているので分かりやすく、教育や子供関連銘柄が大きく伸びるでしょう。マクロ政策的に言えば、岸田さんは『令和版所得倍増計画』で中間層の分配強化を打ち出しているので安定して響く。高市さんはアベノミクスを踏襲したサナエノミクスを打ち出しているのでマーケット関係者は歓迎ですし、アベノミクスで果たされなかった成長分野への投資促進まで進むのではないかと、何とも期待できそうな雰囲気はありますね」(前出・ジャーナリスト)
ただ一方、先週までの日経平均高は、コロナもいったん落ち着きを示しつつある中で、安定的で新たな経済政策、衆院選での自民党の大敗回避をマーケットが織り込んだ結果と見ることが出来る。世間では女性も含めた4候補がしのぎを削るという政治ショーで話題は引っ張れるだろうが、より明確な経済政策が出てこないまま高株価が維持されるほどマーケットは甘いものではないだろう。
(猫間滋)