8月26日に他候補に先駆けて出馬会見を開いたのが岸田文雄前政調会長(64)だった。その壇上で、岸田氏は党役員人事を「1期1年、連続3期まで」と強気の発言。このことが党内外で大きな波紋を呼んだ。
「これは、5年間も党幹事長職で文字通り金庫番を務める二階俊博幹事長(82)に引導を渡す強烈な先制パンチとなりました。このほか、公文書改ざん、財務官僚の自死者まで出た森友学園事件に関し、『国民の納得するまで説明する責任がある』など発言したほか、選挙法違反で逮捕された河井案里事件で、党の金庫から払われた1億5000万円の資金に関しても『精査すべき』と再調査を匂わせるなど、強気の発言を連発。『もはやマイルド岸田は返上だ』と党内でも高評価でした」(政治部デスク)
この先制攻撃に対し、菅義偉総理(72)はまさかの不出馬宣言をかまし、城明け渡しの挙に。
「そのため岸田陣営は、不戦勝だと万々歳。岸田派の若手議員などは『開戦前の無血開城だ』と、祝勝会を開くほど大喜びしたようです。ただ、残念ながら河野太郎行革相と戦うことまでは想定していなかった」(自民党幹部)
とんだぬか喜びとなったが、いつになく強弁の岸田氏に実は黒幕の存在も‥‥。政治ジャーナリストが明かす。
「実は岸田陣営が強気だったのは、背後に選挙プランナーの存在があったからです。主に野党の選挙を手掛けるコンサル会社で、不安な時代には強いメッセージをきちんと言える人が求められると設定し、強気の発言で菅氏と一騎打ちの対立構図を作り出すことに成功。ちなみに総裁選に必勝を期した岸田氏は、プランナーを数千万円のコンサルタント料で雇用している」
この一撃は、言葉が伝わらない総理には効き目十二分。しかし、まさかの敵前逃亡で攻守逆転、劣勢に追い込まれる。
「もはやこれまでの強気発言はウソのような腰砕けぶり。森友学園問題に関しては『再調査するとは言ってない』と追及姿勢は雲散霧消。そればかりか『女系天皇反対』と安倍晋三前総理(66)の顔色を窺う発言で支持を取り戻そうと必死です。しかし、岸田氏は安倍氏にとってタブーである選挙法違反で逮捕された河井案里事件に関しても、『1億5000万円を精査すべき』と繰り返し発言している。森友・加計・桜の疑惑三セットで安倍氏のタブーに触れた岸田氏の総理の目はしぼみつつある」(政治部デスク)
それ見たことかと、安倍氏は高市支持に回ることを表明。
「18年に暴力団関係者との2ショット写真が問題となり、総裁選直前で出馬を断念した岸田氏。大きなスキャンダルがなく安定感がウリですが、この脇の甘さは総理を目指す身としては命取り」(政治部デスク)
岸田ビジョンは絵に描いたモチで終わるのか。
*「週刊アサヒ芸能」9月23日号より。(3)につづく