この合体プランに、日本維新の会もやぶさかではなかった。8月22日に馬場伸幸幹事長(56)がBSテレ東の番組に出演した際、政策ごとの部分連合の可能性を問われ、
「ゼロとは言わない」
と、与党合体に前向きであることを隠さなかった。懸念材料は、橋下氏の政界復帰への意欲だろう。
19年1月にTBSのBS番組で「本当に腹が立ったら、その時にはどうかわからない」と答えれば、同年7月の選挙特番で出馬について、「2万%出ません」と否定。その時の政局が影響しているのか、心持ちはコロコロと様変わりしていた。最近はどちらに傾いているのか。
「橋下氏はテレビのレギュラー番組を多数抱えているので、衆院選に乗り気な様子は見せていません。ただ、安倍氏は相当プッシュしていて、半年ぐらい前から橋下氏の耳に届くように、政治家としての手腕や感謝の気持ちを色々なところで語っています。橋下氏が重い腰を上げなければ、憲法改正で口説こうとしている」(政治部記者)
かねてから憲法改正の必要性で意気投合している2人は、悲願に向けて並々ならぬ大望を抱いている。
「菅総理があまり憲法改正にやる気を見せていないことに、安倍氏が周囲に不満を漏らすこともありました。橋下氏が政界復帰となれば、憲法改正に特化した大臣を新設し、ポストを用意するともっぱらです」(政治部記者)
これで橋下氏が電撃復帰となれば、安倍氏の次なる秘策は立候補する選挙区だ。すでに野党の大物に刺客を送り込む謀略を立てているという。
「狙っているのは立憲民主党の枝野幸男代表(57)の埼玉5区。比例の重複立候補なしのタイマン勝負に持ち込みたいのが本音。橋下氏が勝てば、憲法改正を実現させる時に最大の障壁を排除することができるのです」(政治部記者)
政界引退後にメディア出演を増やし、ますます人気が高まる橋下氏であれば、この奇策で枝野氏を討ち取っても不思議ではない。さらに「橋下出馬」には別の思惑もあった。
「自民にも立憲にも投票したくない有権者は維新に投票する流れがあります。昨年の東京都知事選で小池百合子知事(69)の圧勝の陰に隠れましたが、維新の推薦で立った小野泰輔氏(47)が61万票も獲得して大健闘。衆院選でも維新が『受け皿』になり、さらに橋下氏が出馬となれば相乗効果で関西圏以外でも議席数を伸ばすとみられています」(政治部デスク)
安倍政権が退陣してから約1年。誰が国のトップに立っても「安倍1強」の無法地帯は変わらないようだ。
*「週刊アサヒ芸能」9月16日号より