歴史は繰り返すということか…。世の中の様々なジャンルで改元に絡めた特集が組まれているが、その中で発見されたのが、令和元年の今シーズンと平成元年のプロ野球界の共通点だ。
「令和元年のホームラン第1号は坂本勇人となりました。他球場が投手戦だったり、ナイトゲームだったことも奏功しました。そして平成元年の第1号が、現監督の原辰徳だったんです」(ベテラン記者)
新元号の最初のアーチが、ともに巨人選手から出た。これだけなら単なる偶然だが、ほかにも今シーズンの巨人は平成元年と“酷似している点”が少なくない。
その一つが、前年オフのドタバタ劇だ。
昭和63年オフ、巨人は王貞治監督が東京ドームの幕開けイヤーでもあった同年のV逸の責任を負い、第二期藤田政権が誕生。V逸して前任監督が復帰するパターンは今季と同じだが、それだけではない。藤田元司監督はチームの看板選手だった西本聖を放出し、現・第三期原政権も、内海哲也、長野久義を放出している。トレードとFAによる人的補償の違いこそあれ、象徴的選手を出してチームを生まれ変わらせようとした点は同じだ。
「藤田時代、当時若手だった駒田、岡崎がレギュラーとなり、いまは原監督のもとで山本泰、今村、増田らの若手がブレイクしつつあります。西本放出の見返りで得た中尾孝義が活躍し、今季は丸佳浩が打線を牽引しています」(同前)
ひょっとしたら、原監督は第二期藤田政権を参考にしているのではないだろうか。
5月12日の対東京ヤクルト戦、
平成元年のセ・リーグのペナントレース覇者は巨人だ。同年の日本シリーズは、もっと劇的だった。パを制した近鉄と戦い、3連敗からの4連勝。その主役は自身の前打者が敬遠された怒りをホームランに代えた“原辰徳”だった。
30年の歳月を経て指揮官となった原監督は第二期藤田野球を踏襲するのだろうか。
(スポーツライター・飯山満)