そして協力金については、ようやく3月分が振り込まれたというが、
「振り込みの際にも課税対象になるという通知は一切ありません。源泉徴収されていればすぐに気が付くと思いますが、そういう仕組みにもなっていない。協力金が課税対象になることをわざと隠しているのかと思うくらいですよ」(歌舞伎町のスナックママ)
それでも、それ相当の額の協力金が手元に残るケースはある。先のカラオケスナックの例で言えば、まず課税所得1300万円から納付額500万円を差し引いた金額が800万円。そして、この800万円から年間の生活費を差し引いても、それなりの金額は手元に残る計算になるのだ。
しかし、である。実は協力金バブルに躍った飲食店を急襲することになるのは、なにも課税地獄だけではなかった。
首都圏某市にある飲食店組合の関係者がガックリと肩を落とす。
「コロナ禍が沈静化した後、客足が戻らないであろうことが大問題です。地元で細々とやっている飲食店に客があえて足を運ぶのは『定期的に使ってあげないと気の毒』と思っている人もいるから。そこに降って湧いたような今回の協力金バブルですから、常連客の中には『そういうことならもう行かなくて大丈夫』と考える人も少なくないでしょう。時短営業中に常連客から『協力金バブルか。いいご身分だね』などと嫌味を言われた店主もいます」
課税地獄に続く、客離れ地獄。こうした地域コミュニティーの崩壊は、店主らの人間関係にも暗い影を落とし始めている。この飲食店組合関係者が憂える。
「ズバリ、お上への密告合戦です。他店の協力金バブルを妬んだ店主が『どこどこの店は夜の8時を過ぎても酒を出している』とチクれば、チクられた店主も腹いせに『どこどこの店はこれまで夕方の5時には店を閉めていたはずだ』と。チクり合いの無限ループです。所管の税務署には、この手の密告が数多く寄せられていると聞いています」
地縁関係が濃ければ濃いほど、いったん崩れた人間関係は元に戻りにくい。冒頭で指摘したように、まさに今回の不公平協力金制度が「天下の愚策」と酷評されるゆえんである。
反主流派有力議員も次のように指摘した。
「来年の確定申告の時期、菅総理と財務省は協力金バブル批判へのガス抜きを図るべく、全国の税務署にチェックを厳しくするよう号令をかけるだろう。指導に素直に従った飲食店経営者からは所得税をガッチリと徴収し、従わなかった経営者には時を置いて見せしめ的に税務調査をかける。こう考えると、協力金バブルに躍らされた飲食店経営者は、ある意味で今回の制度の犠牲者かもしれない」
菅ケチ偉総理と腹黒財務省の、なんと罪深いことか。
*「週刊アサヒ芸能」6月24日号より