コロナ休業協力金”バブル”の裏に「罠」と「課税地獄」(2)「不労所得サイコー」で炎上

 この商工会関係者が続けて指摘する。

「変異株の感染拡大状況やワクチン接種の進捗状況を見ると、協力金の支給は少なくとも今年末までは続行されるものと思われます。これまでのように支給対象期間が連続するのか、飛び飛びになるのかは状況次第ですが、今年後半の支給額は少なく見積もっても今年前半の半分、すなわち444万円くらいにはなるだろうとみられています」

 888万円に444万円を足せば、今年1年間の協力金総額は1332万円。加えて、件のカラオケスナックの場合、持続化給付金の100万円や家賃支援給付金の約40万円を協力金に上乗せすることも可能で、これらを合わせた今年1年間の支援金総額は、実に1500万円にも達してしまう計算になるのだ。

 実際に、協力金で車2台と高級腕時計を買った飲食店経営者の話などがマスコミで報じられると、それまで封印されていた協力金バブルに対する批判の声が一気に沸き起こった。さらに、「やはり不労所得はサイコー」「コロナがずっと続けばいい」などのネット上の書き込みが火に油を注ぎ、ツイッターやフェイスブックなどのSNS上では今も炎上状態が続いている。

 ところが、である。「好事魔多し」は世の常。なんと、一連の協力金バブルには巧妙な「罠」が仕掛けられており、来年以降、バブルに躍った店主らは一転して、地獄を見ることになるというのだ。

 税制に詳しい信用金庫関係者が警告する。

「実は、休業や時短に伴う協力金も持続化給付金も家賃支援給付金も、来年の確定申告の際には所得として計上する必要があります。つまり、全てが所得税の課税対象なのです。ところが、国や 道府県が積極的にアナウンスしてこなかったこともあり、この事実をいまだに知らない店主は少なくありません。非課税と勘違いして支援金を取り崩し続けていると、所得税の納付期限がやって来る来年の春、にっちもさっちもいかない〝課税地獄〟に陥ることになるのです」

 では、先のカラオケスナックの場合、所得税の納付額はどれほどになるのか。ベースとなるのは協力金をはじめとする1500万円の年間所得である。信金関係者が続ける。

「店は完全休業を選択していますから、年間所得から差し引くことのできる経費は、家賃支援給付金分を差し引いた家賃やカラオケ機器のリース代、光熱費の基本料金などにすぎません。これらの経費に基礎控除など各種の控除額を加えたとしても、課税所得(所得税の対象となる所得)は1300万円ほどにはなるとみておかねばなりません。そして、この場合の所得税率は33%ですから、1300万円に0.33を掛けた金額から、さらに法定の控除額153万6000円を差し引いた最終的な納付額は、275万4000円に達する計算になりますね」

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