世界に学ぶ「緊急事態宣言」解除後のニッポン(2)日本でも10月から人体実験

 やはり頼みはワクチン接種のようだが、普及によってそれまでの反動から規制が緩んでしまうケースも出ている。

「当初、ワクチン接種が順調に進んだため、CDC(米国疾病予防管理センター)が、ワクチンを打った者同士であればマスクをしなくてもいいという形に規制を緩和しました。それにより国民の気分も緩んでしまった。最近、大谷翔平選手の試合を見に行きましたが、誰もマスクなんかしておらず、スタンドは満席ですよ。全員がワクチン接種をしているとも思えないので、ああいう状況を見ると感染を抑えるのは難しいかなと感じました」(峰氏)

 アメリカでは、全人口の約500人に1人がコロナで命を落としている。マスク着用を受け入れる生活文化の日本とでは、雲泥の差があるかもしれない。

 一方、イギリスでは国を挙げてのトンデモない大規模実験が行われた。6月から7月にかけて行われたサッカー8試合に、人数制限なしのノーマスクというルールで35万人もの観客を集めた結果、約6400人がコロナ感染。観戦の条件としてワクチン証明書、もしくは陰性証明書が必要だったが、それでも大声での声援が感染拡大の原因となったというから恐ろしい。

 ところが感染データを検証してみると、ほとんど重症者、死亡者は出なかったという。この事例から、コロナは「死なない感染症」と言えるとの実験結果を導いたのだ。

「日本でも、11月に想定されている本格的な規制緩和を前に、10月から飲食店や10カ所程度の小規模なコンサートホールでの実証実験が想定されています。首都圏や大阪府、福岡県などで、ワクチン接種者とそうでない人のエリア分けが検討されている。イギリスほど大規模な〝人体実験〟は現実的ではないですが、数百人程度での実験計画は進めているようです」(医療ジャーナリスト)

 仮にイギリスでの実験結果のような割合で感染者が出た場合、日本ではどう結論づけるのだろうか。

 ところで、これまで緊急事態宣言の効力が疑問視されてきたが、ロックダウンに踏み切るという事態はありうるのか。ロックダウンが成功している国を見てみると、

「国によって人口や面積、政治的な要素も違いますから一概には言えませんが、明らかにうまくいっている国は台湾やニュージーランドです。水際対策を徹底して、少しでも感染拡大したらロックダウンしちゃいます。ただしそれは、規模が小さな国だからできることです。日本が同じことをすると、経済が死んでしまいます」(峰氏)

*「週刊アサヒ芸能」10月7日号より。(3)につづく

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