愛知“密フェス”補助金取り消しに噴出した「制度自体をなくすべき」の指摘

 経済産業省は9月7日、8月29日に緊急事態宣言下の愛知県で開かれた野外音楽イベント「NAMIMONOGATARI2021」に対して交付する予定だった最大3000万円の補助金を取り消したことを明らかにした。主催者側にはすでに通知文書を送ったというが、今は補助金制度自体を中止すべきとの意見もある。

「同イベントでは、まん延防止等重点措置区域の人数上限5000人を超えた8000人を動員して超密状態となり、禁止されていた酒類も販売。案の定、現時点で少なくとも参加者14人のコロナ感染が発覚し、クラスター認定されてしまいました」(社会部記者)

 加藤勝信官房長官も8日午前の記者会見で同フェスについて「今回みたいなやり方は、断じて認めるわけにはいかない」と強く批判。ただし一方で、すでに補助金を交付したイベントは4万件に上っているといい、コロナ対策を徹底した上でのイベントには「政府も協力できることはしっかりと協力していきたい」と語っている。

「この補助金は、昨年のコロナ禍でイベントを中止した事業者がイベントを再開する場合に経費の半額を交付するというもので、会場での密やマスクの未着用などで批判された『フジロックフェスティバル』にも最大1億5000万円が交付されることが話題となりました。ただ、観光需要を喚起するために実施された『Go Toトラベル』でコロナが感染拡大したという指摘もありますし、緊急事態宣言下である今は補助金制度自体を中止するべきとの指摘もあります。イベント業界はコロナで大打撃を受けていますが、補助金が強引な開催を招く場合もありますからね。愛知のフェスの件が、そうした補助金反対の声をさらに高まらせる結果を招いてしまいました」(ITジャーナリスト)

 アーティスト側にとっても頭の痛い状況になってしまった。

(小林洋三)

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