GW中もファームの本拠地・鳴尾浜球場でトレーニングに明け暮れていた阪神・藤浪晋太郎。オープン戦以降、ウエスタンリーグでも1球も投げていないが、その一方でメジャースカウトが仰天するほど多くのポイントを貯め込んでいた。当然、あまりうれしくないポイントだ……。
「Picher Abuse Point」。省略してPAP。「abuse」とは乱用の意味で、メジャーリーグで使用されている“投手の酷使具合”を数値化する計算式だ。
その計算方法は、先発投手が試合で投げた球数から100を引き、それを3乗する。例えば110球投げたら、〈110-100〉の3乗で、1000ポイントとなる。
そこで、藤浪がどれぐらい貯め込んでいるのかというと、先発登板のみで出場したプロ2年目の2014年から3年間の投球をPAPで計算すると、以下のようになる。
・2014年 2844球 34万8818P
・2015年 3374球 68万4410P
・2016年 2948球 56万9740P
これがどれぐらいのレベルかというと、大リーグのエースクラスも年間3000球前後を投じているが、PAPは大抵3万台に納まっている。メジャー投手は100球を目途に交代するからだ。対して、日本のエースはPAP30万台がザラで、なかでも藤浪はダントツでPAPポイントを稼ぎまくっているのだ。制球力が悪いから自ずと1試合で放る球数も多くなるのだろう。
「PAPで4万台を超えると、メジャーリーグでは肩を故障する手前にあると判断されます」(在米ライター)
15年オフ、藤浪は肩の痛みを訴え、プレミア12を戦う侍ジャパンの招集を断っている。今年のキャンプ終盤で、唐突にスリークオーターにフォーム改造したことが話題になったが、肩の影響があったのかもしれない。不調の原因はイップスともいわれるが、少なくとも藤浪が「酷使ポイント」をかなり貯め込んでいたことは間違いないのだ。
(スポーツライター・飯山満)