「移住希望地ランキング」と地域別コロナ感染率に相関性はあるのか?

 昨年8月以降、人口減少が続いている東京都。企業のテレワーク化に伴い、首都圏を離れた人が増加した影響だと見られているが、移住先にも人気のエリアがあるようだ。

 地方移住の支援などを行う認定NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京・有楽町)が3月に発表した『2020年の移住相談の傾向、移住希望地ランキング』によると、窓口相談に訪れた人の希望移住先のベスト5は、静岡、長野、山梨、福岡、宮城。同センター主催のセミナー参加者の希望先が和歌山、広島、佐賀、静岡、長野だった。

 昨年は首都圏が新型コロナのホットスポットになったことから、安心・安全な地方に移り住もうとする人も多かっただろう。だが、移住希望地ランキングと地域の感染状況に相関性はなさそうだ。各都道府県における累計感染者数を人口で割った”感染率”を算出してみると、移住先人気の高い先の8県は”感染率の低い都道府県”の上位15位にも入っていない。最も上位の山梨県がやっと16位で、和歌山県は21位、静岡県23位。現在、第4波が猛威を振るっている宮城県は35位、福岡県は38位とむしろ感染リスクが高い地域といえる。

 あくまで単純な統計だが、コロナの感染危険度が最も低いのは秋田県。陽性者は住民3163人に1人(※4月5日時点)で、日本全体の累計感染率(1/259.5)を大きく下回る。最下位の東京都が113.6人に1人で、秋田との感染リスク格差は27.8倍にもなる。だが、移住希望地ランキングでは窓口相談、セミナーともにベスト20にも入っていない。

 ちなみに秋田に続く感染危険度の低い地域は、島根、鳥取、岩手、新潟の順。5位の新潟でも1/1404.7と全国平均からはかなり低く、上越新幹線を使えば首都圏へのアクセスもいいから、今後移住を考える人は考慮に入れてもいいかもしれない。

 これに対してコロナ前は移住先として人気のあった沖縄や北海道は感染率の高い地域となる。特に沖縄は東京に次ぐワースト2位で、南の島でのんびりテレワーク生活という状況でもなさそうだ。

 夫婦いずれかの地元にUターンするならともかく、まったくゆかりのない地域への移住を検討している人もいるだろう。その場合は感染リスクの低い土地かどうかも、ひとつの目安となりうるかもしれない。

■感染率の低い都道府県(4/5現在)

1位 秋田県  1/3163.0

2位 島根県  1/2315.8

3位 鳥取県  1/1976.4

4位 岩手県  1/1719.4

5位 新潟県  1/1404.7

6位 福井県  1/1232.1

7位 徳島県  1/1216.3

8位 青森県  1/1133.1

9位 富山県  1/1076.7

10位 香川県  1/1038.1

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45位 大阪府  1/160.23

46位 沖縄県  1/146.69

47位 東京都  1/113.6

※各自治体の人口とJX通信社/FASTALERTのデータから試算

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