首都圏1都3県を含む、11都府県に緊急事態宣言が出てからおよそ1カ月が経過。その効果もあって鈍化傾向に転じているが、それでも昨年4〜5月の前回の宣言期間中に比べると、1日あたりの新規感染者数はいまだに多い。
人口÷累計感染者数で算出した住民感染率が100分の1を切っていた自治体は1月11日の時点では都内3区だけだったが、1か月後の2月11日には6区と倍増。1位は先月に続き新宿区だが、感染率は54.2人に1人と前回より10ポイント以上も悪化している。
そして、前回6位の中野区は、順位を2つ上げて今回は4位。感染率も1カ月で30ポイント近く悪化させて93.3人に1人となり、年明け以降は都内でも感染リスクの高い地域になっていることがわかる。
ただし、新規感染者の増加傾向が首都圏でも特に目立ったのが横浜市中区。170.9人に1人→111.6人に1人と急上昇。ワースト10を独占していた東京23区に割って入った。ちなみにここは西成や山谷同様、ドヤ街として有名な寿町のあるエリア。さらに多くの飲食店やピンク店が集まる伊勢佐木町や曙町もあり、よりいっそうの感染拡大防止策が求められそうだ。
また、この中区に隣接する横浜市南区が12位。ほかにも川崎市川崎区が17位と、神奈川県内での増加も気になるところだ。
なお、中区は伊勢佐木町、川崎区にも堀之内というピンク店の多いエリアがあることでも有名。1位の新宿区は言うまでもなく歌舞伎町があり、6位の台東区にも吉原、8位の豊島区には池袋といずれも大規模な歓楽街がある。飲食店以外に加えて“濃厚すぎる接触”をウリにするお店の多い地域の感染率が高いのは、非常に気がかりなところだ。
それとワースト10からは漏れたが、現在島内クラスターで危機的状況の宮古島市(沖縄県)が12位。首都圏以外の自治体では一気に感染率でワースト上位に躍り出てしまった。
ほかにも観光地で有名な小樽市(北海道)もランキングこそ圏外だが、感染率は23区内の東京都北区、江東区、練馬区、世田谷区を上回る147.2人に1人。全国的に感染者が多い北海道でも札幌はもちろん、昨年12月に大規模な院内クラスターが発生した旭川よりも感染率が高い。
仮に現時点で感染者があまりいない地域でもクラスターによって感染者が爆発的に増える可能性があるのが新型コロナの怖さ。今月からワクチンの先行接種が予定されているとはいえ、一般市民にまわってくるのはしばらく先のこと。予断を許さない状況はまだまだ続きそうだ。
●新型コロナ感染率 自治体ワーストランキング
※2月11日時点。カッコ内は1カ月前の感染率
1位 東京都新宿区 1/54.2(1/65.7)
2位 東京都港区 1/70.9(1/84.4)
3位 東京都渋谷区 1/74.2(1/91.8)
4位 東京都中野区 1/93.3(1/122.6)[↑2 Rank]
5位 東京都目黒区 1/95.0(1/113.5)
6位 東京都中央区 1/95.7(1/116.3)[↓2 Rank]
7位 東京都台東区 1/101.7(1/140.8)
8位 東京都豊島区 1/109.1(1/147.8)[↑1 Rank]
9位 横浜市中区 1/111.6(1/170.9)[↑圏外]
10位 東京都千代田区 1/116.5(1/147.1)[↓2 Rank]