「なりたい職業1位」でも閉店続出!洋菓子店が直面する厳しい現実とは

 2019年4月に「日本FP協会」が発表した“小学生が将来なりたい職業ランキング”女子部門1位に輝いたのはパティシエールだった。いつの時代も女の子の憧れである“街のケーキ屋さん”。しかし今、そうした店舗が次々と姿を消しているという。
 
「信用調査会社『帝国データバンク』の調べによれば、今年8月に倒産した洋菓子店は30件で、2000年以降で最も多く倒産した18年同期の25件を上回るペースなのだといいます。このままいけば、過去最多を記録する可能性も十分あると見られています」(経済誌記者)
 
 なぜ空前の“スイーツブーム”と言われる中、洋菓子店の閉店が続出しているのか。多くの専門家が指摘するのは、コンビニスイーツの存在だ。コンビニスイーツは市場調査からブームをすぐに取り入れ、注目も集まりやすい。また、全国各地に店舗があることから、共通の話題としてネット上でも盛り上がりやすいといった強みも持っている。しかし一方で、こんな見方もある。
 
「コンビニスイーツと同様、洋菓子店を閉店に追い込んでいるのが、扱う商品を特化させた専門店の存在。パンケーキがブームになればパンケーキの専門店が、かき氷ならかき氷の専門店が、タピオカならタピオカの専門店が雨後の筍のように続発し、消えてはまた現れを繰り返している。そうした店がスイーツ需要を一気にかっさらっていくことから、なかなか街の洋菓子店には勝ち目がないのです」(タウン誌記者)

 さらに街のケーキ屋を苦しめるのが、商品の価格設定だ。

「人件費と小麦やバターといった材料費の高騰が重くのしかかり、薄利多売とはいかず価格を高めに設定しなければ成り立たない。これに消費者からは《ショートケーキ1個500円とかランチの値段と変わらないのはキツい》《近所のケーキ屋さんは行くたび値上げしてるし、どんどん足が遠のく》などの意見も聞こえてきますね」(経済ジャーナリスト)

“憧れの職業”からはかけ離れた、厳しい現実があるようだ。

(小林洋三)

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