毎日新聞社が資本金を1億円に減資、税制上の大きなメリットとは?

 毎日新聞が“中小企業”になる。

 そんな報道がなされたのは1月19日のこと。朝日新聞と読売新聞と並んで「朝毎読の大紙」と称される毎日新聞の経営規模が急に小さくなるのかと言えばそうではなく、41.5億円ある資本金を1億円に減資するという話。

「報道などによれば、15日に開かれた臨時株主総会で決定されて3月に減資されるそうです。純資産や株数に変化はないということなので、おそらく差額は損失の補填に回されるのではないでしょうか。というのも、毎日新聞の2020年の決算を見ると、売上高は前年から6.9%ダウンの約1778億円で、営業利益は約16億円の赤字です。さらに純損失は56億円超の赤字で、減資でもしない限り債務超過に陥る事態も考えられるからです」(経済ジャーナリスト)

 今さら言うまでもなく新聞は慢性的な販売部数減に歯止めがかからず、そこにコロナ禍での広告離れ、新聞社特有の各種イベントの中止が売上減に追い打ちをかけたことは容易に想像がつく。

 当の毎日新聞では減資の理由について「節税効果」と説明している。

「税制の上では資本金1億円超が大企業、1億円以下が中小企業の扱いになるため、日本の税制では資本金が1億円を境に変わってきます。法人税率も大きく変わりますし、経費(損金)として計上できる項目も増えます。だから毎日新聞としては、減資して浮いたお金でコロナ禍の損失を穴埋めして、その後は中小企業として税制上の優遇措置を受けて健全な財務での経営を続けていきたいということなのだと思います」(前出・ジャーナリスト)

 大企業が資本金を1億円に減資するのは会計上の1つのテクニックとして知られている。これまでにも例えば吉本興業やドワンゴでも行われたことがある。あの日本を代表する大企業のシャープも経営再建中に1億円減資を検討したが、「税金逃れ」の批判を浴びて断念したと言われる。

 新聞となればイチ私企業ではなく「社会の木鐸」だ。今後も社会や政治の不正を追及していくためにも、一刻も早い経営の健全化が待たれる。

(猫間滋)

ビジネス