プロ野球セ・パ交流戦が開幕する中、パ・リーグ最下位に沈む千葉ロッテマリーンズが、大胆なコーチ陣の配置転換を発表した。
目玉は、かつての人気選手で“生え抜き”でもあるサブロー2軍監督兼統括打撃コーチの1軍ヘッドコーチ就任だ。これは「配置転換」というより実質的な昇格人事であり、「次期監督を見据えた布陣」と指摘する声もある。
ロッテの今季成績は深刻で、特に打撃不振が目立つ。チーム打率は2割1分3厘とリーグ最下位。打線の機能不全がチーム低迷の最大要因となっている。吉井理人監督は「ヘッドコーチには得点力アップに関する取り組みを期待しています」とコメント。交流戦前に苦境を打開すべく、現場の再構築に踏み切った格好だ。
こうした動きの背景には、現場の成績だけではなく観客動員数の伸び悩みという球団の経営的課題もある。
「ロッテはここ数年、観客層の若年化に成功していたが、今季の1試合平均の観客動員数は、現時点で昨季と比べ鈍化傾向にある」(スポーツ紙記者)
2023年には球団史上最多となる190万人超を動員したが、その一因とされたのが、今季からMLBドジャースに移籍した佐々木朗希投手の存在だった。
「佐々木は1年を通して活躍したわけではないが、日曜登板が多く、全国区の人気選手だった。彼の不在は観客動員への影響が大きい」(同)
さらに球団は、対戦相手や天候で価格が変動するダイナミック・プライシング制を導入しており、観戦コストも高騰気味。ある記者は、「家族3人で内野席を観戦し、交通費や飲食代を加えれば5万円超えも珍しくない。同じ千葉県内ならディズニーランドを選ぶ人も多い」と話す。
スター不在、高価格、打撃不振。三重苦に見舞われているロッテだが、サブロー新ヘッドコーチの下、どこまで巻き返せるのか。交流戦の戦いぶりが、その第一歩となる。
(小田龍司)