誤情報と誹謗中傷で「日の丸マスク」生産中止!飛び交う羽生ファンの怒号

「日の丸マスク」をめぐり、トラブルが巻き起こっている。日の丸マスクと呼ばれているのは、愛知県豊橋市の製造業「くればぁ」が開発した、独自の特殊加工マスクである。日の丸が縫い付けられているのは、「日本を代表するアスリートを応援したい」という生産者の気持ちが込められていたからだという。

「このマスクの名を広めるのに一役買ったのがフィギュアスケートの羽生結弦選手。2015年、世界選手権に出場するため、上海の空港に降り立った際、この日の丸がついたマスクを着用していたことで、『あのマスクは何?』『オフィシャルなのか?』と話題になりました。もともとはアスリートの花粉症対策をきっかけに開発されたもので、羽生選手が着用していたのは、一般販売に先駆けてスポーツ関係者に先行販売されていたものだとか。1点1点手作りという事もあり、値段も1万円以上とかなり高額。それでも、羽生ファンの間で人気が高まり注文が殺到する事態になったそうです。以来、PM2.5などの大気汚染問題もあって、生産が追いつかないほどの人気でした」(社会部記者)

 しかし、この「日の丸マスク」に思いもよらない横やりが入った。

 発端となったのは、毎日新聞のネットニュース記事である。2月23日に掲載された「新型肺炎医療用マスク、自治体・病院に優先供給 厚労省」と題した記事に、工場で生産される日の丸マスクの写真が使われたのだ。一見すると、厚労省が日の丸付きのマスクを生産させて配っている、という受け取り方もできる。

「くればぁ社の記事で誤解した人による批判が相次ぎました。あるコメンテーターは、『これを作るのに、コストどのくらいあがったんだろう。こんなことより、枚数だろうに』とツイート。このつぶやきの影響もあって、税金でわざわざ日の丸つきのマスクを制作している企業がある、というデマが拡散していき、製造業者に批判が殺到したんです。他にも社名のCLEVERを持ち上げて、『CLEVERの反対じゃないですか』『これ付けたやつアホなん』という誹謗中傷コメントも見られました。なお、こうした誤解を招く発言をした人の大半はすでに謝罪しているようです」(ネットライター)

 製造業者の社長が「弊社で作っていた日の丸マスクが政府批判のネタにちょうどよかったのか、ボロクソ言われました。政府と繋がりなんて一切ないのに…社名についても馬鹿にされ、ド阿保とまで言う人も…」とツイートしたのは5月27日。そして翌日には「#日の丸マスク 大変人気でしたが議論のネタにされるのは本望ではないので、しばらく製造休止しています」と、生産を中止していたことを発表した。

「誤情報により人気の日の丸マスクを生産中止に追い込んだとして、『悪質な印象操作だ』『毎日に賠償を求めろ』といった声があがる一方で、この騒動ではじめて日の丸マスクの存在を知った羽生ファンからは『そんなマスクがあったの? でも、もう生産してないんだ』『私も日の丸マスクつけたかったのにガッカリ!これはもう業務妨害として訴えていいレベル!』といった非難の声が上がりました。現在はSNS上での他人の投稿の引用した場合も責任が生じる、という流れができつつあります。今まで以上にネット上での発言には注意が必要です」(ネットトラブルに詳しいライター)

 口は災いの元。不透明な情報には、口にマスクならぬチャックがよろしいようだ。

(オフィスキング)

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