「しんぶん赤旗」。通常は「赤旗」と略称されるこの新聞はもちろん、日本共産党が発行する日刊機関紙だ。1980年には日刊紙と日曜版を合わせて355万部を誇ったが、直近で判明しているところによれば、2019年に毎日新聞が100万部を割ったと報道している。
機関紙とは言え、各種一般報道を行って、時には紙面にアイドルなどの有名人も登場するので一般読者も多いとされる。だが、そうは言ってもやはり政党の機関紙、あまり政治に関心のない人はその存在さえ知らない人も多いだろう。ちなみに日曜版の連載マンガの描き手には、過去、手塚治虫や赤塚不二夫といったビッグネームが連載していたことがある。
その赤旗が今注目を集めている。そう、今、国会でその問題が紛糾している「桜を見る会」問題をスクープしたのが赤旗だからだ。
「『桜を見る会 安倍後援会御一行様 ご招待』とのタイトルで、2019年10月13日の日曜版で赤旗が報じたのがそもそものきっかけでした。赤旗は官邸や政党の記者クラブには加盟していません。だからこそ、取材対象者に忖度する必要はありませんし、通常は見落としてしまうような問題も丹念な調査報道が行えた、その成果だと注目を集めています」(全国紙記者)
9月には、日本ジャーナリスト会議(JCJ)が優れた報道機関に贈るJCJ大賞に選ばれたことも話題となった。毎日新聞は11月21日のデジタル版「見る探る」のコーナーで、「赤旗はなぜ桜を見る会をスクープできたのか」という記事を掲載、日曜版編集長の山本豊彦氏へのインタビューを行っている。また、沖縄タイムスも25日にコラムの「大弦小弦」で赤旗スクープを取り上げている。
日刊紙と日曜版、両紙に共通するのは、毎日新聞が記事で書いているように、同じマスコミ人として「自戒」の念を抱いているということ。
「問題が起こる前の桜を見る会報道と言えば、春の賑わいの風物詩とでもいった年中行事のヒマネタのようなもの。今年はやれ誰それの顔が見られただとか、誰それと首相が一緒の写真に収まったとかそんなことしか報道してきませんでしたからね。ところが、裏では個人的な政治利用という問題があったわけです」(前出・全国紙記者)
実は、同じく国会で問題となっている日本学術会議への人事介入問題も赤旗のスクープが口火を切った。注目が集まるわけだ。前出の山本編集長は他の媒体も含めたメディアの取材に対して「視点の持ち方」の大切さを語っている。
ちなみに、赤旗HPでは現在、記者募集を行っているが、応募資格には「日本共産党員」とだけある。やはり筋金が入っている。
(猫間滋)