コロナ禍においても一度の中止もなく開催を継続しているJRA。ちょうど1月の開催が終わったところで騎手リーディングを眺めてみると、20代以下の若手騎手による活躍が目に留まる。翻ってこれまで競馬界を背負ってきた50代の有名騎手はというと、騎乗数が減少していることも影響しているだろうが、パッとしないのが現状だ。2021年の競馬界は、世代交代の年として印象的な1年になるかもしれない。
若手騎手の中でまず注目したいのが、武史(22、美浦・鈴木伸尋厩舎)・和生(27、美浦・フリー)の横山兄弟だ。弟の武史は昨年94勝をあげて話題となったが、今年はこれに発奮したのか、兄の和生も小倉開催にフル参戦するなど騎乗数を増やし、兄弟揃ってリーディング上位、3着内率25%以上の好成績を収めている。すでに重賞勝利の経験はある横山兄弟。このまま好成績が続くようなら、GⅠの舞台でも“買える”騎手として候補に入れてもよさそうだ。
そのほかにも1月17日に中山競馬場で行われた日経新春杯(GⅡ)で初重賞勝利を収めたデビュー3年目の団野大成(19、栗東・斉藤崇史厩舎)、同期の菅原明良(19、美浦・高木登厩舎)、父、兄ともに騎手という競馬一家に育った鮫島克駿(24、栗東・浅見秀一厩舎)など、全国リーディング15位以内に10代および20代の騎手が5名ランクインしている。
勝利数こそ少ないが、馬券の対象となる3着内率に注目すると、驚くのが昨年末に結婚していたことが報じられたばかりの森裕太朗(23、栗東・角居勝彦厩舎)だ。その数字は47.1%。彼が騎乗したレースのうち、およそ半分で馬券対象となっており、馬柱で見かけたらチェックすべき存在と言える。昨年春に志願して名伯楽・角居調教師のもとに所属した効果が出始めたと言えよう。
前出の団野大成騎手が重賞で初勝利をあげた日経新春杯は、2着に25歳の松若風馬(栗東・音無秀孝厩舎)騎乗の人気薄馬がくいこみ、3連単の配当が96万1790円という超万馬券となった。
今年は大レースほど有名騎手のネームバリューに頼りがちとなってしまう大衆の馬券心理を逆手に取り、好成績をあげている若手騎手を中心に作戦を練ってみると、思わぬ高配当にありつけるかもしれない。長年競馬界を牽引してきた名手たちに敬意を払いつつも、若手騎手のさらなる躍動に期待したい。
(穂波章)