年末年始の会食で濃厚接触者に!体験者が明かす保健所の対応と「隔離生活」

「悪い、コロナ陽性だったわ……」

 1月2日の夜に会食をともにした仕事仲間から電話がかかってきたのは1月5日午前のことだった。彼によれば3日に発熱し、検査に行ったところ新型コロナウイルスに罹っていたということだ。当日彼と一緒にいた筆者含め3名は“濃厚接触者”にあたるとのことで、住んでいる自治体の保健所から連絡があるという。努めて明るく電話を切ったが、これは非常に困ったことになったと心の中では暗い思いだった。

 濃厚接触者とは、患者の感染可能期間内(発症日の2日前から、診断後に隔離などをされるまでの期間)に接触した者の内、次の範囲に該当する人とされている。

・患者と同居、あるいは長時間の接触(車内・航空機など)があった人

・適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護した人

・患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い人

・その他、手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策(マスクなど)なしで15分以上接触があった人(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)

※国立感染症研究所「積極的疫学調査実施要領」より抜粋

 筆者の場合は4つ目の項目に該当する。2日に訪れたしゃぶしゃぶ店はテーブルにアクリル板等は設置されておらず、食事中はマスクを外していたため、納得の結果だ。

 仕事仲間からの電話から約3時間後、保健所から電話があった。本人確認があった後、濃厚接触者であるため、感染の可能性があった2日の翌日から数えて2週間、16日までの自宅隔離を感染の有無に関わらずお願いしたいこと、指定の場所にてPCR検査を受けてほしいことについて話があった。感染者、濃厚接触者の数が膨大であるため、検査日は11日を指定された。電話口で話す担当者の後ろでも複数の電話応対をしている様子が聞こえ、事態のひっ迫している状況が伝わってくる。検査日まで6日間という時間に疑問を抱かないわけではなかったが、筆者に基礎疾患がないことも影響しているのだろう。

 また、検査はドライブスルーで実施されているとのことだが、筆者は車の免許を持っていない。直接徒歩で向かうことも可能だと伝えたものの、最寄りの駅から送迎の車を手配してくれるという。検査の前日か前々日に再度保健所から電話がある旨を確認して、電話を切った。

 担当者の話では、濃厚接触から発症までの潜伏期間は2日〜2週間と人によりまちまちで、現在は無症状であってもこれから発症する可能性があるため、毎日の検温と、何か異変があればすぐ連絡をしてほしいということだった。

 今後自身の健康状態がどのようになるか全くわからないが、取り急ぎ16日まで人と会えないことが確定したため、まずは家族に報告、取材や打ち合わせの予定はすべてキャンセルすべく、方々に頭を下げた。

 筆者はフリーライターであるため、一定期間のみと思えば人と会わずに仕事をすることも可能だが、他の業種では仕事自体が不可能だという方も多くいることだろう。保健所から告げられた自宅隔離の要請には従わなかった場合の罰則も、また補償もないため、一部の人間が仕事を優先して「黙ってやりすごすしかない」という考えに至っても不思議はない。

 1月8日には7884人と国内の新規感染者数が過去最多を記録したが、筆者のように、強制力を持たない隔離生活を要請された濃厚接触者はその数倍に及ぶだろう。今回の出来事で、会食のリスクを改めて実感させられることとなった。

(穂波章)

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