「ワイドショーで極楽とんぼの山本(圭壱)さんの生配信番組でクラスターが起きたっていうのを見て、『ああ他人事じゃないな』って思いましたね。それこそ“軍団”っていうくらいだから、結束は強そうですけど…。もしもボスママみたいな人から号令がかかったら断れないじゃないですか」
こう言って、都内在住の30代女性Aさんが思い浮かべたのは7月に行われた「ママ友ランチ」の光景だ。
「緊急事態宣言が出て、解除されてからもずっと会っていなかったこともあって、保育園のママ友4人で食事をしようってことになったんです。それまでリモート飲みは何度かやったんですけど、やっぱり実際に会うと違うますよね」
Aさんたちママ友4人が出かけたのは近所にある焼肉店だった。
「換気が万全っていうイメージがあるから大丈夫かと思って。それにランチだと1000円ちょっとでいいお肉が食べられますからね。ついつい『うちの旦那は家にいてもぜんぜん家事しない』とか、自粛期間中のグチで盛り上がってしまい…。2日後に微熱が出て、体がダルくなって『もしかして…』って思ったら感染してました。誰が感染源かわかりませんけど、他3人のうち2人も感染していました。うちは家族全員が感染したんですけど、夫がウイルスを持ち込んだのは自分だと勝手に思いこんでいるのが唯一の救いですかね…」
Aさんのケースは気の合う4人組だったが、今では何となく“気まずい関係”になってしまったという。その一方で、断りたくても断れなかった事例を明かすのは、つい先日、PCR検査を受けたという20代のBさんだ。3歳と5歳の男児を持つ二児のママだ。
「結果は陰性でしたけど、濃厚接触者になったのは保育園の保護者懇親会です。ボスママみたいな人の『コロナの情報交換をしたいから集まろうよ』なんて呼びかけで、地下にある居酒屋に集まったんです。後々のことを考えたら、ハブにされるのもイヤですし、かといって参加するのも気が引けるし…。欠席するのも地獄、参加するのも地獄ですよ。結局、『少しだけ…』と参加しましたけどね。ママ友が10人くらい集まって、最初は大声で話さないとか、距離を取ってお酒を飲んでいたのですが、そのうち酔いもまわって場が盛り上がってくると、無礼講みたいになっちゃって…。酔っぱらったボスママが『もしここで(コロナを)うつされても恨みっこなし』とか言い始めて、『まずいなぁ』と思っていたら案の定ですよ。参加者の中から2人もコロナが出たそうなんです。別のママ友経由で聞いたときは本当、怒りに震えましたよ」
食事中の会話は、唾液の分泌量が増える分、飛沫感染のリスクが高まると言われている。飲酒によって、声が大きくなったり、距離が近くなればなおさらだ。
「私も家族たちも陰性だったのは不幸中の幸いです。あれからママ友のグループLINEはずっと既読スルー。誰が感染者だったのかは、なんとなくわかってますけど、ふざけんなって感じですよね。保育園の送り迎えも極力、主人に行ってもらって、なるべく顔を合わせないようにしています」(Bさん)
不要不急の外出はおろか、不要不急の会合も自粛がさけばれる昨今。“ママ友クラスター”が発生しないことを祈るばかりだ。
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