年収5000万円は幻に…パチンコライター続々廃業の現実「来店イベントの規制で」

 パチンコやパチスロを扱った雑誌、また専門の動画サイトなどに欠かすことのできないパチンコライターたち。一応、彼らも取材や原稿執筆などをこなすが、台で遊戯しながらレポートする実戦バトルなど自身もメディアに露出する機会が多く、ライターといっても立ち位置はタレントに近い。

 パチンコやパチスロ好きの若者の間では垂涎の眼差しで見られる職業だが、「以前のように稼げる時代じゃない」とこぼすのは元パチンコライターの30代の男性だ。

「2010年代前半、芸能人の来店イベントが規制対象になる県が増え、抜け道として注目されたのが実戦取材などの名目で行うライターの来店イベントでした。芸能人と比べてギャラは格安。1人10〜20万円程度で呼べますし、ホール側も経費を抑えられてWIN-WINの関係でした」

 そのため、2010年からの数年間はいわば“特需”のような状態で、知名度のある売れっ子ライターであれば年収5000万円を超えることも珍しくなかったそうだ。

「自分は下っ端レベルでしたけど、営業(来店イベント)のおかげで月の収入が100万円を超える月もありました。ただし、今度はライター来店イベントも規制対象となる地域が増え、営業の本数も激減していきました。今もホール実戦取材は多くありますが、昔のように店側からギャラを受け取るケースは少なくなっています。来店することが決まっても、事前告知がNGとなり、宣伝効果がないからです」

 また、業界自体がずっと右肩下がりの状況で、「射幸心を煽る」等の理由で長期間稼働中の人気機種が段階的に撤去されているとか。

「専門誌も部数の維持に苦戦しており、私のように見切りをつけて辞めてしまったライターは少なくありません。業界が特殊すぎるため、パチンコ系以外の分野でライターを続けるのも難しいですから。今年はコロナによる休業もあり、今まで以上に厳しい状態が続いています。今後、引退や廃業する人間はますます増えていくでしょうね」

 華やかそうに見えていたのは、あくまで表面上だけだったのかもしれない。

(トシタカマサ)

※写真はイメージです

ビジネス