一発屋芸人として記憶される前に看板を下ろした元ピン芸人・ブルゾンちえみ。「35億」のひとことフレーズでメディアを席巻したのは、およそ3年前。だが、今年3月31日、所属していたワタナベエンターテインメントを退所して、現在は本名の藤原史織に戻って、再スタートしている。
そんなブルゾンの軍門に下ったことがあるお笑いトリオがいる。“お笑い第7世代”のド真ん中にいる四千頭身だ。共に同じナベプロ(ブルゾンは元)。さらに、ワタナベコメディスクール22期の同期生だ。
ブルゾンはかつて「ブルゾンちえみ with B」として、イケメンのコージ&ダイキを左右に従えていた。with Bは、ナベプロ内で厳正なる審査で選出された。そのオーディションに、のちに四千頭身となる後藤拓実、都築拓紀がいたのだ。当時をよく知る芸能関係者が振り返る。
「もともと四千頭身は、都築と後藤、辞めた男性との3人ではじまりました。解散後、後藤は石橋遼大とコンビを結成。解散して、再び都築と組み、元相方の石橋を加えて、現在のトリオに落ち着きました。3人でスタートした16年、事務所ライブに出るために、ブルゾンをはさむ男として、都築と後藤が舞台に立ちました。ブルゾンの引き立て役としてです」
当時のネタは、「ブックカバーをつける男が好き」とブルゾンが言うと、2人がブックカバーを持って舞台袖から現れるというもの。結果、落選。審査員から「お前らじゃないだろう」、ブルゾンから「あなたたちじゃない」とボロクソに言われて落とされたという。
そもそも四千頭身は、ナベプロ屈指のエリートだ。スクールを卒業した年の暮れに、若手芸人発掘番組「新しい波24」(フジテレビ系)で地上波デビュー。レギュラーメンバーとして、翌17年まで生き残った。同年には、初の単独ライブを開催。チケットは完売した。翌18年には、ニッポン放送の深夜ラジオ「オールナイトニッポン0(ゼロ)」のメインパーソナリティーを務め、同番組50年の歴史(当時)で史上最年少記録を打ち立てた。
ブルゾンは芸能界の表舞台から姿を消し、with Bは解散。そのwith Bのオーディションで苦汁をなめた四千頭身が、現在のバラエティ界に欠かせない若手となった。“黒歴史”を乗り越え、華麗なる逆襲を遂げたトリオ芸人。キングオブコント王者のハナコとともに、ナベプロの次代を支える存在だ。
(北村ともこ)