「白鶴まる!」のフレーズで日本酒のCMに出演していた元俳優・矢崎滋。東大在学中に演劇の道を志し、中退後に劇団四季に入団。退団後はテレビドラマや映画の名脇役として活躍。さらに持前の博識ぶりを生かして、クイズ番組やバラエティ番組にも多数出演していた。
しかし、「週刊女性」の本人直撃記事によると、俳優業は事実上の引退状態。現在は東北某所のビジネスホテルで生活しているという。
有名俳優の余生にしてはちょっとさびしい気がしないわけでもないが、「案外悪くないですよ」と話すのは、同じように地方都市でビジネスホテル暮らしを続ける60代の男性だ。
「もともと宿泊料金の安い地方なら大手のビジネスホテルチェーンでも1か月11〜12万円台。しかも、私の滞在しているホテルは朝食付きです。水道光熱費を別途で払う必要もないですし、部屋の清掃やゴミの処分だって全部やってくれる。妻には10年以上前に先立たれて独り身ですし、仮に急に具合が悪くなったとしてもホテルなら内線を使えばスタッフがすぐ来てくれます。もちろん、高齢者向けのケアマンションほど至れり尽くせりではないですが、個人的にはそれに近い感覚で利用しています」
確かに、少なくとも孤独死のリスクはなさそうだ。ケアマンションや老人ホームの場合、「入居者同士の付き合いが大変」といった声もあるが、ビジネスホテルなら他の宿泊客に干渉される心配もなく、プライバシーも確保できる。年を取っても身体の自由がある程度利くうちであれば、こういう生活もアリかもしれない。
「私の場合、ホテル代に加えて昼夕の食事代、病院代や雑費などを合わせると毎月18〜20万円ほど。決して安くはないかもしれませんがホテル暮らしであることを考えれば、思っていたよりは出費を抑えられています」
この方のように老後のリタイア生活でなくとも働き盛りのサラリーマンでホテル暮らしをしている人も最近は増えている。
また、今ならGoToトラベルキャンペーン利用でさらに安く泊まることができ、クーポンを使えば食費の負担も少なく済む。興味のある方は、お試し感覚の期間限定でホテル暮らしを体験してみるのもよさそうだ。
(高島昌俊)