米中技術戦争が本格化!ファーウェイ「半導体制裁」の余波と中国企業の泣き所

 9月15日をもってアメリカ政府は同国の技術を用いて製造した半導体をファーウェイに供給することを禁止した。このファーウェイへの「半導体制裁」が開始されるや、アメリカの半導体設計などを手掛ける大手クアルコムはもとより台湾、韓国の半導体企業も足並みを揃えて、アメリカ対中国の技術戦争が本格化しつつある。それにより、当のファーウェイ会長の「生き残りが目標」との弱気のコメントが伝えられているように、

「韓国の『中央日報』が報じたところによれば、最近の中国メディアでは『チャーボーズー』という言葉がよく使われているとのことです。『両手で首を絞める』という意味で、アメリカの技術制裁によって中国は首を締めあげられているようだという悲鳴を表しているとのことです」(経済ジャーナリスト)

 ファーウェイは半導体の設計に専念して製造には手をつけてこなかったので、アメリカの技術を用いたチップを調達できなくなり、最先端のスマホが製造できなくなってしまったという。確かに首を締めあげられているようなものだ。どうにも出口は見当たらないので、ファーウェイとしては半導体製造に投資をするしかない。トップレベルに追いつくには10年かかると言われているが、締め上げにあっている以上はやるしかないだろう。

 中国政府もこれをバックアップする模様だ。中国のハイテク最高機関の中国科学院トップは会見で、「西側諸国に死命を制せられている技術的問題」というものを挙げて、「精鋭部隊を集めて解決する」と述べた。まさに国を挙げて迎撃に立ち向かうといった姿勢だ。

 さてこの「死命を制せられている技術的問題」なのだが、半導体製造に関する2つの技術を掲げているのは当然として、実はこれに終わらなかった。この他に23の技術も挙げていたのだ。そのリストとは…。

「PCとスマホのOS、データベース管理システム、ロボットアルゴリズム、航空機エンジン、触覚センサー、顕微鏡なども同時にリストアップされています。OSはマイクロソフト、アップル、グーグルに圧倒されているのは当然として、例えばシステムはIBMやマイクロソフト、ロボットなら日本のファナック、ガスタービンならドイツのシーメンスなどといった企業が世界的にも知られている通り、確かに現時点で中国企業の出番はないという現実をそのまま反映したものとなっています」(前出・経済ジャーナリスト)

 多岐にわたった技術力ではまだまだ中国は後進国でしかない。果たして巻き返しはどのくらいの速度で進むのだろうか。

(猫間滋)

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