米市場から排除の「ファーウェイ」が目論む“Google要らずの世界”

 アメリカが輸出規制リストにファーウェイを加えて“排除”したのが2019年5月のこと。その後、ファーウェイはどうなったかと言えば、スマホの販売台数はむしろ躍進していた。

「市場調査会社が行った調査によれば、2019年のスマホの出荷台数はファーウェイが2億4000万台でアップルの1億9700万台を上回りました。1位がサムスンの2億9500万台で、これにファーウェイ、アップルが続くという格好です。2018年はサムスン、アップル、ファーウェイの順だったので、2位と3位が逆転したことになります」(ITジャーナリスト)

 ファーウェイが米国市場から排除されたことで、アメリカではファーウェイの新型スマホではグーグルのモバイルサービスが使えなくなった。ということはつまり、Google Playストアが使えないので、OSとしてアンドロイドがダウンロードできない。にもかかわらず、だ。

「中国ではそもそも2010年以後、Google Playストアは使えなくなっていたので、機能面で実質的には大きな変更を迫られたわけではないんです。そしてそれを補うかのように、中国国内では代わりになるアプリが開発されて一般的に使われてきた経緯がある。だから、中国市場に影響がなかった」(同前)

 というのが“逆躍進”の理由だという。アメリカに追随する日本以下、今後、ファーウェイ排除に動くであろう国もあることから、今後は出荷台数にも影響が及ぶだろうが、それでもマーケットは存在しているというのだ。

 また、ファーウェイは“排除”後にオランダのナビゲーションシステム会社と提携を行っている。これはもちろん、グーグル・マップを要らなくする施策だ。今回アップルは脇に置くとして、それ以外のスマホの世界では、グーグル要らずの規格をめぐる世界構築が行われているのだ。

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