コロナ禍で問題となっているものの一つに「雇い渋り」がある。中でも真っ先に人員削減の対象にあげられるのがパートやアルバイトである。
埼玉県在住の主婦の女性は、コロナ禍の緊急事態宣言で真っ先にパート収入を失うこととなった。というのも、彼女の勤務先が大学だったためだ。
「3年ほど働いていたキャンパス内にある学生食堂がコロナで無期休業となってしまいました。当初はすぐに再開できると思っていたのですが、今でも授業はオンラインで行われていて、食堂も閉鎖されたまま。折悪く、夫が会社をリストラになり、再就職先を探している最中で、一家の収入がゼロになってしまったのです。子供が3人おり、少ない貯金を切り崩す生活です」
大学の食堂は和気あいあいとした雰囲気で、学生たちとの交流が生まれるなど、とても働きやすい環境だったという。だが、営業再開の目途も立たず、そのまま手をこまねいているわけにはいかない。
「学食の前にも長く飲食関係でパートをしていたので飲食が望ましかったのですが、そうも言っていられません。地域のドラッグストアのレジ係の募集があり、即応募しました。後から知り合いに聞いた話ですが、2人の募集の枠に50人近くの応募があったそうです。当然のように落ちました。これも後から聞いたのですが、採用された人も自由にシフトに入れるわけではなく、働けるのは週1日で数時間ということもあるそうです」(前出・主婦)
その後も近所のスーパーでレジ係の募集を見つけたものの、「コロナ騒ぎとレジ袋有料化の混乱でベテランパートがこぞって辞めてしまっての補充募集だったそうです」(前出・主婦)とのことで、現場は新人ばかり。結果的に長蛇の列とクレームの嵐で店内は“地獄絵図”と化していたようで、結果的に応募を断念したという。そんな彼女の唯一の希望が、キャンパスの再開と学食への復職だが、先行きは暗いという。求人情報サイトの編集者に現在の状況を聞いた。
「コロナ以降、有効求人倍率は目に見えて低下しています。なかでも大学関連の求人はめったにありません。小中高の学校は通常の授業に戻っていますが、大学だけはいまだに大半がオンライン授業となっています。とくに地方から上京してきた新入生は一度もキャンパスライフが経験できずに、友人も作れない。不憫でなりません。しかしコロナ禍による“大学封鎖”は、そこに携わる警備スタッフや清掃パート、売店のレジ係など、多くの人から収入を奪ってしまったのも事実。一部の学生からは『授業料を返してくれ』と主張する声もあがっていますが、一刻も早く大学が“平常運転”となることを願ってやみません」
国民の生活の根底から揺るがすコロナ禍。大学生はもちろん、大学で働いていたパートたちの苦難もまだ続きそうだ。
(オフィスキング)
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