1軍に帯同しても登板なし。さらに入念なボディチェックで少しでも異常が発見されればノースロー調整に……。不可解な育成プログラムのもと、大事に大事に育てられている“令和の怪物”佐々木朗希(18)が、昨年の岩手大会決勝で登板を回避したあと、甲子園を沸かせていたのが星稜の奥川恭伸(19)だった。しかし同じくドラ1でヤクルトに入団した奥川も、2軍施設で負けず劣らず過保護に育てられているという。のどかに見えるプロ生活の日常についてNPB関係者が語る。
「強い日ざしが照りつける戸田球場のサブグラウンドで、ファームの投手たちと一緒にミニハードルやダッシュなどのトレーニングメニューをこなしている。7月末に上半身のコンディション不良が発覚してからはノースロー調整でしたが、今、キャッチボールは再開しています」
ヤクルトの深刻な先発不足を救済する即戦力ルーキーのはずだったが、7月20日の2軍戦の登板を最後に実戦のマウンドから遠ざかったまま。
「4度の登板機会に恵まれると、自己最速の154キロのストレートで空振りを奪うなどアピールを続けてきました。もはや現時点で1軍でも十分投げられる状態だと聞いている。それを阻むのは、佐々木ほどの縛りはないようですが、やはり最初は慎重に育成するという密約があったというのです」(スポーツ紙デスク)
高卒新人らしからぬ完成度の高さを早く披露してもらいたいのだが……。
「奥川用の特別トレーニングメニューを組みたくても、無理をしてケガをさせてしまったら誰が責任を取るのかという論調になっている。横並びの練習を課すことしかできず、歯がゆい思いをしている2軍スタッフもいるといいます」(スポーツ紙デスク)
試行錯誤を重ねる育成部門の苦労はつゆ知らず、今シーズンから1軍の指揮を執る高津臣吾監督(51)は奥川の1軍デビューに前のめりになっているという。
「表向きはじっくり育てる方針を示していますが、親しい球団OBには『すぐにローテで投げさせたい』と興奮を隠しきれない。素質がピカイチな分、実戦で鍛えたい思惑があるようですが、高校時代の勤続疲労を心配するフロントから必死にストップがかかっています」(NPB関係者)
温室育ちのガラスの十代、とヤユする向きもあるが、早くマウンドに立って躍動する日が待ち望まれている。