佐々木朗希の意外な効果とは?/プロ野球“裏”キャンプ「激ヤバ事件」(2)

 さながら軍隊と化した巨人2軍と逆行するように、「働き方改革」に成功したのはヤクルトだ。

「去年までは鬼軍曹の宮本ヘッドコーチの指揮で、8時スタートの20時終了という拘束時間の長い練習メニューが組まれていた。選手たちも『クタクタで寝るだけです』『(夜の)街に繰り出す元気が残っていません』と練習以外の時間は休息に充てるしかなかった」(プロ野球中継スタッフ)

 宮本ヘッドが退任したことで、練習量は標準レベルに減少。16~17時には練習を切り上げて宿舎に帰れるという。

「選手たちも余暇の時間を確保できて気持ちに余裕が生まれたから、ハツラツとしているよ」(プロ野球中継スタッフ)

 そんな中、チーム期待のルーキー奥川恭伸(18)は、いささかスローペースすぎる調整のせいか、期待のわりに存在感が乏しい。キャンプ前の合同自主トレ中に右肘の炎症が判明して2軍スタートだったこともあって、メディア露出が極端に減っている。

「体作りのトレーニングやキャッチボールばかりで動きに変化がないので、新聞やテレビのカメラマンの多くが他のキャンプ地へと立ち去ってしまいました」(スポーツ紙デスク)

 キャンプ初日には、スポーツ紙だけでなく、奥川の地元、石川県のテレビ局が集結する盛況ぶりだったが、1週間もすれば、マスコミよりもサインを求める地元の野球少年のほうが目立つほどに閑古鳥が鳴いていた。

 それでも、キャッチボールでは他の選手が山なりのボールを投げる中、低い軌道のボールをバシバシ放って首脳陣に懸命のアピールを続けていたものだ。

 だが、そんな奥川の周辺には「箝口令」が敷かれていた。ケガの状態や調子に関する質問には球団スタッフが口をつぐむのだ。

「奥川はエゴサーチをするタイプなんです。コーチやスカウトのマイナス発言をネットで見つけて、気を落とす可能性がありますからね。野球以外のことで気を煩わせないよう徹底しているのでしょう」(スポーツ紙デスク)

 奥川と同様、「箝口令」は黄金ルーキーにも波及していた。石垣島キャンプのロッテ・佐々木朗希(18)である。キャンプの進行とともにブルペンで投球するシーンも増えたが、佐々木本人に球速やコントロールなどについて直接質問することは禁止なのだという。ロッテ担当記者が明かす。

「ナイーブな佐々木をおもんぱかる球団の対応で、番記者の間では共通認識でした。ところが、スポット的に取材に訪れるテレビ局の解説者や球界OBたちには周知されていなかった。テレビの企画で川上憲伸氏が禁止事項の話題を振るインタビューに本人があっけらかんと答えていたのを見て、『なんで川上だけOKなんだ!』と記者たちの間で大ブーイングが起きていましたよ」

 専門のスポーツ紙だけでなくテレビでも特集を組まれるなど、佐々木フィーバーはやむ気配がない。キャンプ中、佐々木が動くと記者やファンが群れを成して大移動していく。

「メイン球場で主力選手がバッティングを始めようが関係ありません。ですが、選手の間で佐々木の人気に嫉妬する雰囲気は皆無で、『自分たちの練習に集中できてよかった』と、のびのび練習できることを喜んでいる」(ロッテ担当記者)

 一方、ロッテと同じく離島・久米島でのキャンプだった楽天の話題はあまりに少ない。昨オフの大型補強成功で、話題の中心になってもおかしくないはずだが─。

「楽天の主力選手は人見知りが多いんです。移籍してきた涌井秀章(33)も牧田和久(35)も、あまり口を開きたがらない。ロッテ時代はよくしゃべったFA加入の鈴木大地(30)までがそんな周囲の雰囲気に同調しているんです。なにより周知の事実で、三木肇新監督(42)が三木谷浩史オーナー(54)と石井一久GM(46)の『操り人形』なので、おもしろいコメントがまったく期待できない。ネタがないから、一部の練習を非公開にする通常の措置だけでニュースになるんです」(球界関係者)

 サインプレーの確認などで練習を非公開にすることはどの球団でもあるが、閉鎖的な雰囲気は隠しようがない‥‥。

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